
日銀保有株の重い宿題
はじめに|日銀が「株を売る」って本当?
最近、「日銀が株を売り始めるらしい」というニュースが出ました。
正確にはETF(上場投資信託)ですが、中身は日本株そのものです。
マネサバくん:おじさん、ニュース見たよ。
日銀って、そんなに株持ってたの?
私:いいところに気づいたね。
実は日銀は、日本で一番株を持っている存在なんだ。
今回はこの 日銀保有株 について、
「なぜ問題なのか」「これから何が起き得るのか」を、ゆっくり整理していこう。
まずはクイズ|日銀は何年かけて株を売る?
私:じゃあ最初にクイズ。
日銀が持っているETFを、全部売り終わるまで何年かかると思う?
マネサバくん:うーん…10年くらい?
私:もっと長い。
マネサバくん:じゃあ30年?
私:まだまだ。
マネサバくん:え、100年?
私:正解。
100年以上だ。
答え合わせ
日銀は、簿価で約37兆円分のETFを、年間3300億円ずつ売却する計画だ。
単純計算すると 約112年。
人生を何周しても終わらないレベルの長期計画だね。
日銀保有株って、そもそも何?
マネサバくん:でもおじさん、
なんで日銀が株なんて持ってるの?
私:景気対策だよ。
景気が悪いときにお金を世の中に回すため、国債だけでなくETFも買った。
その結果、
- 国債:500兆円以上
- 株(ETF):時価で約82兆円
という、かなりいびつなバランスになってしまった。
なぜ日銀保有株が「問題」なのか
ここが一番大事なポイントだ。
中央銀行は本来、株を持つ存在ではない
中央銀行は、
- 特定の企業
- 特定の市場
に肩入れしない「中立な存在」であるべきだ。
マネサバくん:でも今は含み益が出てるんでしょ?
儲かってるなら良くない?
私:それが一番危ない考え方だ。
金利が上がると何が起きる?
金利と資産価格は、基本的に逆の動きをする。
- 金利が上がる
- 国債の価格は下がる
- 株も下がりやすくなる
日銀は国債を500兆円以上持っている。
ざっくり言うと、
10年債は金利が1%上がると、価格は約10%下がる
日銀の保有国債の平均残存期間はもう少し短いが、
それでも 金利上昇=数十兆円規模の評価損 が出てもおかしくない。
マネサバくん:じゃあ、今ある株の含み益って…
私:あっという間に吹き飛ぶ可能性がある。
「110年かけて慎重に」は本当に安全か?
日銀は
「市場に影響を出さないよう、100年以上かけて売る」
と言っている。
確かに、過去に銀行から買い取った株を約10年かけて売却し、
大きな混乱なく終えた実績はある。
ただし、今回は状況が違う。
- 規模が桁違い
- 金利上昇局面と重なる可能性
- 株価が下がる局面での売却リスク
マネサバくん:100年あれば安心ってわけじゃないんだね
私:むしろ「100年もかかる問題を抱えた」って考えた方がいい。
なぜ今、情報がリークされているのか
今回の話は、正式発表前から少しずつ報道されている。
マネサバくん:なんで小出しにしてるの?
私:市場の反応を見るためだろうね。
植田総裁は慎重な人だ。
いきなり発表して市場が荒れるより、
- 少しリーク
- 市場の様子を見る
- 問題なければ正式発表
という流れは、かなり現実的だ。
19日の金融政策決定会合後の会見が注目される理由も、そこにある。
投資家はどう向き合えばいい?
このニュースを見て、
- 「すぐ暴落する!」
- 「日銀が売るなら終わりだ!」
と極端に考える必要はない。
一方で、
- 「日銀がいるから大丈夫」
- 「影響はない」
と考えるのも危険だ。
日銀保有株の問題は、
静かに、でも確実に効いてくるリスク だ。
まとめ|日銀保有株は“未来へのツケ”
マネサバくん:なんだか、重たい話だね…
私:そうだね。
でも、投資では「見ないふり」が一番危ない。
日銀保有株は、
- 今は含み益がある
- しかし金利上昇に非常に弱い
- 100年以上かけて処理する前代未聞の計画
という、未来に先送りされた問題だ。
「日銀がいるから安心」ではなく、
「日銀ですら簡単に降りられない状況」
この視点を持って、市場を見ていきたい。
19日の会見は、しっかり確認しておこう。
【出典】
タイトル:日銀が来月にも保有ETFの売却開始へ、100年以上の長期計画に-関係者
URL:https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-15/T7AKTYT96OSG00?srnd=jp-homepage
媒体名:ブルームバーグ
掲載日:2025年12月15日
