
育たぬユニコーンの正体
はじめに|ユニコーンは誰が育てるもの?
「日本ではユニコーン企業が全然育たない」
そんな話を最近よく耳にします。
今回の日経新聞の記事は、その原因をかなり踏み込んで検証しています。
マネサバくん:おじさん、そもそもユニコーンって何者なの?
なんか強そうだけど。
私:名前は強そうだけどね。
ユニコーン企業っていうのは、非上場で会社の価値が1500億円以上の企業のことだよ。
本来は市場の中で、投資家に評価されて自然に生まれる存在です。
ところが日本では、政府が「育てよう」としている。
ここに、今回の問題の根っこがあります。
クイズ|スタートアップ補助金はいくら使われた?
私:じゃあ最初にクイズだ。
日本はスタートアップ育成のために、ここ4年間でいくら補助金を出したと思う?
マネサバくん:うーん…100億円くらい?
私:桁が違う。
マネサバくん:じゃあ500億円?
私:まだ少ない。
マネサバくん:まさか…1000億円?
私:正解に近い。
約1700億円だ。
答え合わせ
2021年度からの4年間で、国は新興企業向け補助金として1700億円を支出しました。
しかもこれは、財政赤字が問題になっている最中の話です。
育たぬユニコーンの最大の違和感
マネサバくん:でもおじさん、
そんなにお金出してるなら、ユニコーン増えても良さそうじゃない?
私:ところが、そうなっていない。
日本政府は
「将来ユニコーンを100社にする」
という目標を掲げていますが、現状は 8社。
しかも今回の検証で分かったのは、
補助金を受け取っていた企業の2割以上が大企業関連 だったという事実です。
スタートアップ補助金の中身を見てみる
制度の仕組みは一見立派です。
- アイデア
- 開発
- 実証
という3段階を国が設定し、
最大で 100億円超 の資金を提供します。
しかし実態を見ると、
- 大企業の子会社
- 大企業と資本関係のある企業
が数多く採択されていました。
マネサバくん:それって、スタートアップなの?
私:そこが一番の疑問だね。
政府の説明と、内部の食い違い
内閣府は
「大企業への交付も問題ない」
と説明しています。
一方で、制度を作った当時の関係者からは
「制度の趣旨を逸脱している」
という厳しい声も出ています。
つまり、
- スタートアップを育てたい部署
- 既存事業を回したい省庁
この間で、最初から方向性がズレていた可能性が高い。
そもそも政府がユニコーンを作る必要はあるのか
マネサバくん:おじさん、
ユニコーンって政府が作らなきゃダメなの?
私:個人的には、全くそう思わない。
資本主義社会では、
- 企業が自由に資金調達し
- 投資家が自由に評価する
この環境こそが一番大切です。
雇用や新産業は、
市場での競争の結果として生まれるものであって、
政府が「この分野で作る」と決めるものではないと私は考えています。
税金という「重い原資」
今回使われた1700億円は、すべて税金です。
税金を
- 効果検証も不十分なまま配り
- 成果が出なくても責任が曖昧
こうした政策を続けていれば、
財政は確実に傷みます。
マネサバくん:それって将来どうなるの?
私:最悪の場合、通貨の信用が落ちる。
第二次大戦直後、日本の軍票が紙くずになったのも、財政と通貨の信頼を壊した結果でした。
本当に必要なのは「検証」
今回の日経の記事で評価できるのは、
「どれだけ効果があったのか」を数字で検証している点です。
- 当初の予測はどうだったのか
- どれだけ成果が出たのか
- なぜズレたのか
これを検証せずに
「次はもっと予算を増やそう」
では、同じ失敗を繰り返すだけです。
まとめ|育たぬユニコーンが示すもの
マネサバくん:なんだか、夢のある話のはずなのに重たいね
私:夢を語るのは簡単だけど、お金を使うなら責任が必要だ。
育たぬユニコーン問題が示しているのは、
- 政府主導の限界
- 補助金依存の危うさ
- 市場原理の軽視
だと思っています。
スタートアップに本当に必要なのは、
補助金よりも
自由に挑戦でき、失敗できる市場環境。
この視点を忘れずに、
「育たぬユニコーン」という言葉の裏側を考えていきたいですね。
【出典】
タイトル:〈エビデンス不全〉育たぬユニコーン(上) 新興向け補助金、骨抜き 採択事業者、2割が大企業
URL:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251216&ng=DGKKZO93237960W5A211C2MM8000
媒体名:日本経済新聞
掲載日:2025年12月16日
