
さらなる円安の正体
“円高になるはず”が外れる不思議
いきなりだけど、まずは頭の体操いこう。
問題:
「アメリカが利下げして、日本が利上げ方向なら、金利差が縮む。だから円高になる」
…この理屈、今も通用してると思う?
- ① 通用してる(円高になるはず)
- ② 半分だけ通用してる(でも他の力が強い)
- ③ もう通用してない(教科書燃やそう)
答えは記事を材料にしながら一緒に確認していこう。
先に言うと、最近のドル円は155円前後。年初と大差ない。これがもう「ん?」って話だよね。
マネサバくん:おじさん、円高になるって聞いたのに、全然じゃん。これ誰が言い出したの?
私:うーん、昔の経験則としては間違ってないんだよ。
マネサバくん:じゃあ今は何?経験則の反抗期?
私:そうそう。為替ってだいたい思春期。昨日まで言うこと聞いてたのに、今日いきなり無視する。
マネサバくん:為替、めんどくさ…。
私:でも理由はある。今日は「金利差だけじゃ動かない」って話を、生活目線見てみよう。
金利差が縮んでも円高にならない理由
本日の記事の核はここ。
アメリカは利下げを進め、日本は利上げを議論している。市場は12月会合の利上げをかなり織り込んでる、とも書いてある。普通なら「円高っぽい」。
なのに、円は歴史的に安い水準の近くに居座ってる。
つまり、今の相場はこういう状態:
- 金利差の力:円高方向に働く
- でも別の力:円安方向に引っぱる
- 結果:相殺されて、円高になりきれない
この「別の力」って何?
記事は“日本経済の根深い構造”に注目してる。ここがとても大事。
日本は稼いでるのに、円が弱いのはなぜ?
日本は国として見ると、稼いでる。経常収支は大きな黒字だって記事にもある。しかも稼いだお金の一部は日本に戻ってきて、円買い要因にもなってる。
それでも円安が続くのは、「出ていくお金」も増えてるから。
ここ、難しい言葉を避けて“家計”にすると分かりやすい。
- 収入:外から入ってくるお金(海外投資の利益とか、旅行とか)
- 支出:外へ払うお金(輸入代金、ネットサービス代など)
家計が黒字でも、毎月サブスクが増えたら「手元に残る感覚」って弱くなるだろ?
国もそれに近い。
デジタル赤字=サブスク地獄
マネサバくん:記事に「デジタル赤字」って出てきたけど、急に理科みたいで眠くなる…。
私:理科は禁止。今日は生活科。デジタル赤字は「海外のネットサービスに払ってるお金が多い」ってこと。
マネサバくん:あ、僕のサブスク一覧、全部海外かも…。
私:そういう人、かなり多い。クラウド、動画、音楽、アプリ、仕事のツール。気づかないうちに円が外へ流れる。
マネサバくん:俺が毎月払う数千円が、国の円安に…?
私:君一人で為替は動かないけど、国民みんなでやると大きい。で、それが“構造”ってやつ。
デジタル赤字が“じわじわ円安”を作る
記事では、旅行収支が黒字でも、デジタル赤字がそれを打ち消していると書かれてる。しかも今後は、デジタル赤字が旅行黒字を上回って、恒常的な円安圧力になる可能性が高い、と。
ここが怖いのは、急なショックじゃなくて**「毎年ジワジワ」**ってところ。
さらに追い打ちとして出てくるのが生成AI。
AIが広がるほど、計算のためのクラウド利用とか、海外サービス利用が増えやすい。つまり支払いが増える。
旅行は、受け入れ側の人手不足や国際情勢でもブレーキがかかる。
この“伸びやすさの差”が、円を弱くしやすい。
NISAが円安要因?これ、ちょい皮肉
もう一つ、記事が触れてるのが新NISA。
長期の資産づくりとしては良い制度。でも、海外投信を買う人が増えると、円を売って外貨資産を買う動きが増える。結果として円安圧力になりやすい。
ここは誤解されやすいから、分けて考える。
- 国全体:円が外へ出る → 円安方向
- 個人:円だけに偏らない → 生活防衛として合理的
“国の事情”と“個人の正解”がズレる典型例だね。
NISAで円安?のモヤモヤ
マネサバくん:ねぇおじさん、NISAって「やれ」って言われるのに、円安要因って言われたら混乱する。どっちだよ。
私:どっちも正しい。角度が違うだけ。個人は資産を守るのが仕事。国は通貨を守るのが仕事。
マネサバくん:じゃあ僕がNISAやったら円安進む?僕の責任?
私:安心しろ。君の積立で円が動くなら、私は今ごろテレビに出てる。
マネサバくん:それはやめといたほうが、炎上するよ。
私:うるさい。話戻すぞ。NISAが悪いんじゃなくて、「円が外に出やすい流れ」があるって話。
財政への不安が“円の信頼”を削る
記事の後半で効いてくるのが、財政拡張への警戒感。
大きい補正予算が組まれ、国債に関する“保険料”みたいな指標(CDS)が上がった、という話が出てくる。
専門用語は置いといて、超ざっくり言うとこう:
- 「将来、国の借金大丈夫?」って心配が増える
- 心配が増えると、通貨の信頼が揺れやすい
- 信頼が揺れると、円が売られやすい
もちろん、すぐ国が破綻する、みたいな話じゃない。日銀の存在も大きい。
でも、あなたの評価の理由にもあった通り、大幅な円安→大幅な物価上昇が起きたら、生活はキツい。体感としては“破綻っぽい”と感じる人も出る。
これがジワジワ怖い。
最初の問題の答え合わせ
冒頭の問題、答えはこれ。
答え:② 半分だけ通用してる(でも他の力が強い)
金利差の理屈自体はまだ生きてる。
でも今は、
- デジタル分野で外に出ていくお金が増えやすい
- NISAなどで海外投資が増えやすい
- 財政への不安がくすぶりやすい
こういう「円安側の力」が太くなってきた。
だから金利差だけで「140円台まで戻る」とは言いにくい。この記事が言う“謎(コナンドラム)”は、ここにある。
さらなる円安に、どう備える?
相場を当てるのは難しい。
でも、備え方は考えられる。初心者向けに、まずはこの3つで十分。
- 円だけに偏らない
外貨資産を少し持つだけで、円安のストレスが減ることがある。
(急に全力でやる必要はない。ゆっくりでいい) - 生活コストの“円安耐性”を上げる
固定費の見直しって地味だけど強い。サブスク整理とか、まさに記事のテーマともつながる。 - ニュースを家計に翻訳するクセをつける
「デジタル赤字」→サブスク・クラウド代
「輸入増」→エネルギーや原材料の値上がり
こうやって理解すると、怖さが“対策”に変わる。
マネサバくん:で、結局「さらなる円安」って来るの?来ないの?
私:来る可能性はある。少なくとも“来てもおかしくない材料”が増えてる。
マネサバくん:うわ、嫌だな。僕のお小遣い、円でしかもらえないんだけど。
私:日本にいると、みんなそうだよ。だから意識して資産は分けて持つ。焦らずにね。
マネサバくん:おじさん、たまに優しいこと言うじゃん。
私:たまにって言うな。いつも優しいわ。
マネサバくん:じゃあ証拠に、僕のサブスク整理手伝って。
私:それは無理。そこは自力で頑張って。
【出典】
タイトル:円安が続く謎、効かぬ「金利差縮小→円高」の定説 成長戦略に半信半疑
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB166E00W5A211C2000000/
媒体名:日経新聞
掲載日:2025年12月17日
お勧めの本
レイ・ダリオ著

