マネサバおじさん      

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マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年6月24日

“神の見えざる手”はどこへ?コメ価格の政治介入が示す日本の市場観


2025年6月、日本のコメ価格が一気に動きました。農林水産省の発表によれば、全国のスーパーでの平均価格が5kgあたり3920円と、前週比で256円も下落。背景には政府が放出した安価な備蓄米の影響があり、銘柄米も値下がりする結果となりました。

この流れに石破首相は「着実に変化した」と胸を張り、「5kg3000円台」という約束を守れたと強調しています。

でも、ちょっと待ってください。この“値下がり”は市場の競争によって起きたことではないのです。


市場価格を“政府の力”で操作するという矛盾

首相の発言を聞いていると、まるで民間の流通努力や技術革新で価格が改善したかのような響きですが、実態は政府の備蓄米を安価で大量に市場に放出した結果です。

これって、自由市場の原理からするとかなり不自然な状態です。アダム・スミスが説いた「神の見えざる手」——需給のバランスによって自然と最適な価格が形成されるという市場経済の根幹が、政治によってコントロールされているように見えてしまうのです。

しかも、その一方で生産者の声にも「今後が心配」という不安が広がっています。小泉農相も「農家のセーフティーネットが必要」と語っているあたり、無理に価格を下げた分の“しわ寄せ”が農家にいくリスクを認識している証拠です。


減反政策から“過剰供給”? 経済政策の矛盾

かつて日本はコメ余りの時代に「減反政策」を行い、生産を調整して価格の安定を図ってきました。言わば、高価格を維持するためにわざと作らない仕組みです。

ところが今は価格高騰に対して「備蓄米で価格を抑えます」という真逆の対応。この混乱ぶりは、ちょっと前までインフレ対策をしていたのに、今は「デフレ脱却が見通せない」と言って金融緩和を続ける日銀の姿勢とどこか似ているような気がします。

結局のところ、デフレ対策とインフレ対策を同時にしようとして、どちらも中途半端になる可能性がある。これは投資の視点からも重要な示唆です。


投資家が見るべきは“価格”よりも“制度”の動き

こういった政府主導の価格政策は、表面上の数字(たとえばコメの価格)が動いたとしても、それが実質的な市場の変化を意味するとは限らないことを教えてくれます。

制度や規制が価格に与える影響が強まると、投資家としては「ファンダメンタルズ分析」だけでは読みきれないリスクが増えていきます。これは不動産でも農業関連でも同じです。

だからこそ、価格の裏にある政治的意図や政策の方向性をしっかり読み解く力が、これからますます重要になると感じます。


市場に任せる勇気を持てるか?

日本は本当に市場経済国家なのか?と思わせるような出来事が、このコメ価格の話には詰まっています。「価格が上がったら困る」「でも農家は守りたい」——その気持ちはわかるけれど、両方を同時に叶えるのは至難の業。

それでも、投資家はそんな混沌とした現実の中にこそ、**チャンスとリスクの“兆し”**を見つけるものです。

私たちは何を信じ、どう行動するか。たとえ“神の見えざる手”が霞んで見えたとしても、自分の目と頭で判断し続けるしかありません。


コメ、5キロ3000円台に 店頭256円安
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89562550U5A620C2MM8000/
日経新聞 2025/6/24