副業が当たり前の時代へ――アメリカで広がる「もう一つの仕事」のリアル
「専業はもう贅沢」――そんな空気が、アメリカの働き方に広がっています。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、2025年の米国では複数の仕事を持つ人の割合が5.5%に達し、これは2000年代の景気後退期以来の高水準とのこと。不況に陥っているかのような社会のムードと、それに伴う副業ブームが生まれているのです。
この傾向、決して「夢を追うための副業」ではありません。「生き延びるために働く」副業なのです。
副業は“情熱”から“必要”へ
かつて副業といえば、自分の好きなことやスキルを活かす「副収入のチャンス」でした。たとえばDJ、ミュージシャン、アート販売など。でも今や、現実はもっとシビアです。
・清掃業で本業の補完をする広告代理店のオーナー
・子どもを連れてベビーシッターをする不動産会社勤務の母親
・航空メーカーのアシスタントをしながら夜はクラブDJ
こうした事例が次々に紹介されていて、「え、そんな副業もあるのか!」と驚かされます。特に印象的だったのは、開業コストが低い清掃業をあえて選んだ元ジャズミュージシャンの女性。バンド活動ではなく「安定」を優先したというのは、この時代の“空気”そのものです。
なぜ、今“副業”がこれほど注目されているのか?
米国はもともと労働の流動性が高く、「いつでも転職できる」「雇用も簡単に切れる」社会です。でもその柔軟さの裏には、常に“職を失う不安”があるという現実も。
特にミレニアル世代とZ世代は、二度の不況(リーマンショックとパンデミック)を若いうちに経験した世代。彼らは“本業一本”の働き方を、もはやリスクと考えているのです。
副業で多様な収入源を持つことで、雇用不安に備える。今のアメリカで副業が「常識」となりつつある理由は、生き残り戦略としての合理性に他なりません。
日本にも迫る“副業前提社会”の波
このアメリカの状況、実は他人事ではありません。日本でもコロナ以降、「副業解禁」の流れが加速。企業も人材も、“一社依存”の働き方から脱却し始めています。
そして、ここに投資家視点での注目ポイントがあります。副業が前提の時代になると、人々の生活コストに対する意識が変わり、「本業+α」をどう作るかという視点で動きます。これは消費行動・投資行動にも大きく影響するのです。
たとえば:
- 時間を有効活用できる副業支援サービス
- 安定収入を支えるプラットフォーム(ギグワークやマイクロビジネス系)
- 副業で得た資金を運用するための投資信託・証券アプリ
こうしたセクターには、新たな成長の芽が潜んでいるかもしれません。
時代は「安定の一社」から「柔軟な二刀流」へ
アメリカでは今、「キャリアは一本筋ではない」という認識が当たり前になりつつあります。大学生たちが「副業チャレンジ」と称して、眉毛脱毛や手作りスウェット販売のアイデアを競い合う様子は、その象徴でしょう。
大企業に就職して、定年まで働いて、退職金と年金で生活する――そんなモデルは、もはや幻想に近いのかもしれません。
本業に加えて“副収入”をどう作るか。そして、その収入をどう守り、どう増やしていくか。
これからの時代に求められるのは、「働き方」だけでなく「生き方」の柔軟性なのだと感じさせられる内容でした。
副業に走る米国人、まるで不況期?
https://jp.wsj.com/articles/americans-are-side-hustling-like-were-in-a-recession-0699cd99
ウオールストリートジャーナル 2025/6/24
