マネサバおじさん      

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マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年3月24日

ユーロ高が揺さぶる、円高シナリオの行方


2025年春、為替市場では少し意外な動きが起きています。これまでドルや円に比べて劣勢に立たされていたユーロが、じわじわと存在感を取り戻してきているのです。

特に注目すべきは、ドルだけでなく、円に対してもユーロ買いが進み始めたこと。この流れは、多くの人が描いていた「日銀の利上げで円高へ」というシナリオに修正を迫るものとなっています。


予想外だったユーロの復活

2024年までは、ユーロには向かい風が吹いていました。高止まりする米国経済、日銀の金融政策正常化への期待、そしてウクライナ情勢や中国経済の減速など、ユーロにとっては逆風だらけ。1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)すら現実味を帯びるかと思われていたのです。

しかし、今年に入って状況は一変。米国ではトランプ政権が矢継ぎ早に打ち出す追加関税がインフレ懸念を煽り、消費悪化も懸念される状況に。景気悪化の兆しが見え始めたことで、米連邦準備理事会(FRB)が再び利下げに動くかもしれないという見方が広がり始めました。

一方で、ユーロ圏では防衛力強化や財政拡大が進み、景気の底支えが期待されています。これに伴い、欧州中央銀行(ECB)の利下げ回数が減るのではとの観測も。金利差という観点でも、ユーロにとって追い風が吹き始めているのです。


円高シナリオに変化の兆し

日銀は利上げの姿勢を保っているとはいえ、その動きは慎重です。しかも、仮に利上げしたとしても、すでに他国との金利差は大きく、資金の流れを大きく変えるほどのインパクトはないかもしれません。

加えて、もしFRBが再び利下げに踏み切り、ECBの利下げペースが鈍化すれば、ドル安・ユーロ高が進行。ユーロに対する円の売り圧力も高まるため、これまで見込まれていたような大幅な円高は期待しづらい状況です。

実際、今年3月にかけて円は一時1ドル=146円台まで上昇しましたが、すぐに反落し、150円台に戻る場面も見られました。為替市場の動きを見る限り、円高トレンドが勢いを欠いていることは明らかです。


じわじわ進む「脆弱な円高」

市場関係者の見方は、「円高は進むものの、極めて緩やかに」というものが主流です。大規模な円買いには至らず、むしろドルとユーロとの間で資金の綱引きが続くなかで、円はじりじりと買われる展開。いわば**「脆弱な円高」**が続く可能性が高いと見られています。

特に日本の場合、日銀が抱える巨額の国債が、金利上昇によって含み損を拡大させるリスクもあり、積極的な利上げには踏み切りにくい事情も背景にあります。利上げが難航すれば、円の魅力も限定的なまま。そう考えると、円の本格的な独歩高は、まだ少し遠い未来の話になりそうです。


これからの為替相場をどう読むか

市場のダイナミズムは常に予想を裏切るものですが、今回のユーロ高のように、見落とされがちな動きがシナリオを大きく変えることもあります。為替市場では、単純な金利差だけではなく、地政学リスクや政策スタンスの違い、資金の流れにも目を向ける必要がありそうです。

これからの数カ月、ドル、ユーロ、円が織りなす三つ巴の動きは、投資のチャンスとリスクを分ける大きなカギになるかもしれません。


ユーロ「意外高」が阻む円高シナリオ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD212NX0R20C25A3000000/
日経新聞 2025/3/23