トランプ再登場が映す、経済と市場の新たな風景
2025年、再びホワイトハウスに戻ったトランプ大統領。その経済政策には、期待と不安が交錯しています。規制緩和と減税で経済界からは歓迎の声が上がる一方、不規則な発言や関税政策がもたらす不確実性には、懸念の声も。今、米国の経済界や学界の重鎮たちは、彼の経済運営をどう見ているのでしょうか。
ビジネス界に追い風をもたらす規制緩和
カーライル・グループ共同創業者のデビッド・ルーベンスタイン氏は、トランプ氏を「近年まれにみるビジネス寄りの大統領」と評しています。特に、前政権下で厳しくなった証券取引や競争政策の規制緩和には期待が寄せられ、M&A(合併・買収)市場の活性化も見込まれています。
また、暗号資産に対する寛容な姿勢も、新たな資産クラスに目を向ける投資家たちには好材料といえるでしょう。ルーベンスタイン氏は、トランプ氏の「柔軟性」を評価しつつも、不規則な動きが市場の不確実性を高めるリスクも忘れてはならないと指摘しています。
一貫性のなさがもたらす市場の不安
ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏は、トランプ氏の政策に対して慎重な立場を取っています。関税政策のように、交渉次第で先行きが読めないスタイルは企業の投資意欲を萎縮させ、サプライチェーンを揺るがす可能性があると警鐘を鳴らします。
さらに、ドル安政策への言及にも懸念が。過去、日本が急激な円高でバブル崩壊を経験したように、為替の急変動は経済に深刻な影響を及ぼすリスクを孕んでいます。特に、低金利時代に国債投資を増やしてきた日本の金融機関にとって、金利急騰は大きな打撃となりかねません。
エネルギー政策の転換とその波紋
S&Pグローバル副会長のダニエル・ヤーギン氏が注目するのは、トランプ政権のエネルギー政策。石油・天然ガスの生産を国力の源泉と位置づけ、規制緩和を進めながら増産を目指す姿勢が鮮明になっています。
AIやデータセンターの普及に伴う電力需要の増加を背景に、天然ガスと原子力エネルギーの活用にも力を入れる方針。再生可能エネルギーへの支援は縮小されるものの、すでに一定規模に育った分野であり、影響は限定的と見られています。
市場に漂う「先の見えなさ」
とはいえ、経済界には慎重な見方も根強いです。「先が見えないから様子を見る」という企業の声は、まさに現在の状況を象徴しています。不確実性が高まると企業の設備投資は冷え込み、過去の米中貿易戦争の時期にも同様の現象が見られました。
トランプ氏が掲げる政策が現実に打撃を与えた場合、それを認めて方向転換できるかどうか。市場も、経済も、今後の彼の「柔軟性」にかかっているのかもしれません。
過熱するアメリカ株、そして次のチャンス
アメリカ株はすでに高値圏にあり、エヌビディアをはじめとするテック株は時価総額を大きく伸ばしてきました。多くの銘柄が適正価格いっぱいまで買われ、割安株を探すのは難しい局面。
バブルかどうかは、いつの時代も「はじけるまで分からない」もの。ですが、もし市場が一時的に冷え込む局面が訪れれば、それは次のチャンスになるかもしれません。
歴史を振り返ると、加熱した市場を冷やす役割を果たす人物が現れることで、新たな投資の機会が生まれてきました。今回も、トランプ政権が市場に「冷却期間」をもたらす存在になるのかもしれません。
トランプ経済政策の功罪は 米カーライル創業者らに聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1860E0Y5A310C2000000/
日経新聞 2025/3/23
