日銀の「含み損28兆円」が示す、私たちに迫る静かな警鐘
2025年5月28日、日銀の2024年度決算が発表されました。
注目されたのは、なんといっても国債の含み損が28兆円を超えたという事実。しかも、これは過去最大額。
ゼロが多すぎてピンと来ないかもしれませんが、これは日本の国家予算の1/3近い規模。家計でたとえるなら、資産はあるけど持ってる不動産が大きく値下がりしてるような状態です。しかも、これが中央銀行で起きているとなれば話は別です。
金利上昇で利払いが“6.6倍”に
日銀の政策金利は、2024年度中に0.1%から0.5%へと引き上げられました。わずか0.4ポイントの上昇に見えるかもしれませんが、その結果、当座預金に対する利払い費用はなんと1兆2517億円へ。前年の6.6倍です。
これは、日銀が市中銀行に支払う「利息」のようなもので、日銀からすれば“固定費”の増加。家計でいえば、家賃が突然6倍に跳ね上がったようなものです。普通なら破綻してもおかしくないレベル。
含み損28兆円、それでも「問題ない」と言えるのか?
日銀はこの含み損について「国債は償還まで持ち続けるから損失は確定しない」と説明しています。これは「株が下がってても売らなきゃ損じゃない」という理屈と同じですが、中央銀行がこれを言うとなると、ちょっと背筋が寒くなります。
特に怖いのは、「政策金利が上がれば株価は下がる」のが経済の基本。いまは日銀のETF(株式投資信託)の含み益でバランスが取れていても、金利がさらに上がれば、株価が下がり、ETFの評価額も落ち、いよいよ債務超過になるリスクが現実味を帯びてきます。
国庫納付金も減少傾向へ
今回、日銀は当期剰余金から約2兆1500億円を国庫に納付しました。これも税金の代わりに“中央銀行からの利益分配”として重要な財源です。しかし、その額も前年から1%減少。将来はもっと減っていく可能性があります。
つまり、日銀の経営悪化は、国の財政にもじわじわと効いてくるのです。
引当金は半減、「備え」が減っている現実
もう一つ気になるのが「債券取引損失引当金」が前年より49%減少してしまったこと。これは、将来の損失に備えてプールしておく“保険のようなもの”です。
利払い費がかさんだことで、これが十分に積めなかった。つまり、「余裕がないから備えも減らす」ことになっているわけです。これは企業でも家庭でも、健全とは言い難い運営状態です。
私たち個人にとって、何を意味するのか?
日銀がこんな状況にあると知って、「大変そうだな」で終わらせてはいけません。なぜなら、日本の中央銀行が抱えるリスクは、円という通貨、そして私たちの生活そのものの安定性に直結しているからです。
もし日銀が本格的な引き締めに踏み切れなくなったとしたら、物価上昇(インフレ)は続く可能性があります。
逆に、含み損を帳消しにするために、急な増税や資産課税のような「出口のない対策」が必要になる可能性もゼロではありません。
だからこそ、自分の資産は「自分で守る」時代へ
今、インフレを感じているのは、スーパーでの買い物や外食の値段だけではありません。経済の根幹にある「お金の価値」がじわじわと揺らいでいるという現実を、日銀の決算は私たちに突きつけています。
だからこそ、投資を始めるという選択肢がよりリアルなものになってきています。リスクを分散し、通貨や資産クラスに広く目を向ける。個人のレベルでも「守りの経済行動」を意識する必要がある時代に入ってきたのだと思います。
日銀、金利上昇で24年度利払い6.6倍 国債含み損は最大の28兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB284RC0Y5A520C2000000/
日経新聞 2025/5/28
