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マネー・サバイバル

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2025年5月28日

日銀の「減額」は本当に引き締め?緩やかすぎる出口戦略の正体


日銀の国債購入、減らす減らすと言いながら……まだまだ“買っている”。

そんな印象を抱いた方も多いかもしれません。5月28日の日経新聞記事では、ゴールドマン・サックスの大谷氏が、2027年3月時点での国債買入れ額は「月間2兆円程度」と予測していました。これは明らかに「ゼロにはしません」と言っているに等しく、つまり日銀は「減額=引き締め」ではなく、「減額=続・緩和」と捉えているのではないでしょうか。


インフレ時代の“緩やかすぎる”アクセル調整

足元の日本は、どう見てもインフレ傾向です。物価上昇率は安定して3〜4%のレンジにあり、消費者の生活実感も「高くなった」と感じている人が多数派。

本来ならば、物価上昇を抑えるためには金融引き締め、つまり金利を上げたり、国債の買い入れを減らしたりして、お金の流れを絞るべきタイミングのはずです。

ところが日銀は、「2%の安定的な物価目標の達成が見えない」というお決まりのセリフを盾に、あくまでも“緩やかな調整”にとどめています。
これって本当に引き締めなのでしょうか?


「2兆円」でもまだ緩和の範囲内

今回の記事では、日銀の国債購入ペースが、最終的には月間2兆円まで減るのでは?という予測が紹介されていました。確かに2022〜23年ごろのピークと比べれば大きな減額です。

でも、よく考えてみてください。2兆円って、年間で24兆円です。これはもはや国家予算レベルの金額。それだけのお金が引き続き市場に流れ込んでくるわけで、完全な“金融緩和”を続けているのと本質的には大差ないのです。

しかも、今回の方針では「保有国債を売却する」とはどこにも書かれていません。つまり、資産圧縮(バランスシートの縮小)もなければ、市場への本格的な資金回収も行われていない状態。これでは“引き締め風の緩和”にすぎません。


なぜそんなに慎重なのか?

大谷氏のコメントからもにじみ出ていたのは、「市場のショックを避けたい」という日銀の姿勢。これには理解できる部分もあります。

日銀が国債購入を急にゼロにしてしまえば、超長期金利が急上昇する可能性もあり、年金や保険といった長期運用を行っている金融機関に大きな影響が出るかもしれません。

また、日銀自身が保有する国債の含み損が膨らめば、バランスシート上は「債務超過」に陥るリスクもあります。そうなると日銀の信用そのものが問われかねません。


投資家として見ておきたい視点

このような政策環境の中で、投資家が意識したいのは、「日銀の本音はどこにあるのか?」ということです。

表向きは緩やかな引き締めと言いながら、実際は“インフレを放置せざるを得ない”状況にあるのだとすれば、今後も物価上昇は続く可能性があります。これは、債券市場よりも株式市場や実物資産(不動産やコモディティ)に優位性がある相場が続くことを意味します。

また、為替面では円が本格的に強くなるにはまだ時間がかかると考えるのが自然かもしれません。金利差が縮まらなければ、ドル円は高止まりしたまま推移するリスクも。


まとめ:中央銀行の“言葉”の裏を読もう

金融政策はいつも、きれいな言葉で語られます。でも、その実態は「何をしているか」ではなく、「何をしていないか」にこそヒントが隠れていることが多い。

今回の“国債購入減額”も、「ようやく引き締めか」と見るよりも、「まだまだ緩和が続くのかも」と解釈する方が、投資家としてはより慎重で柔軟な判断ができるかもしれません。

未来の金融環境を読むためには、中央銀行の“控えめな言葉”にだまされない目を養うことも、大切な投資力の一つです。


日銀の国債購入「27年3月末に2兆円規模」 ゴールドマン・大谷氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL269ALTW5A520C2000000/
日経新聞 2025/5/28