マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2026年1月5日
マネサバくんびっくり

ナノ秒を争う高速取引の世界

「高速取引」と聞くと、どこかSFの世界の話に聞こえるかもしれません。
でも実は、私たちがニュースで見る株価の裏側では、**ナノ秒(10億分の1秒)**という人間には体感できない時間をめぐって、本気の争いが起きています。

今回取り上げるのは、**ウオール・ストリート・ジャーナル**が報じた
「高速取引業者、『10億分の3.2秒』巡る対立」という記事。
少し前の記事ですが、「高速取引はここまで来たか…」と唸らされる内容でした。


はじめに、ちょっと考えてみよう

:いきなりだけど、マネサバくん。
「0.0000000032秒」って、どれくらいの時間だと思う?

マネサバくん:おじさん、それゼロ多すぎてもう分からないよ…。
まばたきの何分の1?

:まばたきどころじゃない。
光が30センチ進む時間が、だいたい1ナノ秒。
3.2ナノ秒って、光が1メートルも進めない。

マネサバくん:え、それを争ってケンカしてるの?
人間の反射神経、完全に置いてけぼりじゃん…。

:そう。
でもその“置いてけぼりの世界”で、毎日とんでもないお金が動いてるんだ。


昔は「ミリ秒」、今は「ナノ秒」

私が昔読んだ本では、高速取引業者はミリ秒を削るために必死でした。
取引所と自社のコンピュータを、ほんの少しでも短い距離でつなぐために、

そんな話が普通に出てきます。
当時は光ファイバーが一般的でなく、銅線ケーブルでの争いでした。

マネサバくん:銅線1本のために家を買うって…
不動産投資じゃなくてケーブル投資だね。

:笑えないけど本当の話。
なぜそこまでするかというと、理由は単純でね。


なぜ「一瞬の速さ」が儲けにつながるのか

高速取引の基本はこうです。

これを1回や2回じゃなく、1日に何百回も繰り返す。

マネサバくん:1回の利益は小さくても、回数で殴る感じ?

:まさにそれ。
ローリスク・ローリターンを、超高速で積み重ねる。
結果的に「ほぼノーリスク・ハイリターン」に見える世界になる。


今回の争点は「3.2ナノ秒」

今回の記事の舞台は、ドイツのデリバティブ取引所**ユーレックス**。
ここで一部の高速取引業者が、

を大量に送り続けることで、
「常に回線がつながっている状態」を作り出していた、という話です。

マネサバくん:え、ゴミデータ流していいの?

:そこが問題になってる。
ルール違反かどうか、かなりグレーなんだ。


仕組みを超ざっくり言うと

難しい専門用語は置いといて、イメージだけ。

高速取引業者は、
「合図だけ先に送っておく」
という小細工を使いました。

マネサバくん:ピンポンダッシュみたいな感じ?

:いい例えだね。
呼び鈴だけ押して、用があればドアの前に立つ。
用がなければ逃げる、みたいな。

これで約3.2ナノ秒速く反応できる。
たったそれだけ、されどそれだけ。


たった3.2ナノ秒で何が変わる?

マネサバくん:正直、それで利益変わるの?

:高速取引の世界では天地の差。
例えば、

この差を何年も積み重ねると、
数百億円規模の差になることもある。

マネサバくん:怖い世界だ…。

:だからこそ、取引所も規制当局も頭を抱える。


イタチごっこは終わらない

取引所側は監視システムを改良します。
でも業者側は、また別の抜け道を探す。

マネサバくん:完全にイタチごっこじゃん。

:そう。
今回の手法も、将来的には使えなくなる可能性が高い。
でも次の「0.1ナノ秒」を削る方法は、必ず誰かが考える。


私たち個人投資家への教訓

ここで大事なのは、
「高速取引がズルいかどうか」よりも、別の視点。

マネサバくん:え、個人投資家には関係ない話じゃないの?

:直接は関係ない。
でも、短期売買でプロに勝とうとするのが、
どれだけ無謀かは分かるよね。

勝負にならない。

マネサバくん:じゃあ、僕らはどうすればいいの?

:時間を味方につける。
長期で、企業の成長や価値を見る。
それが個人投資家の一番強い戦い方だ。


まとめ

高速取引は、

と、想像を超える進化を続けています。
その世界は確かにすごい。
でも同時に、私たちが踏み込む必要のない戦場でもあります。

速さでは勝てない。
だからこそ、考え方で勝つ。

投資は競争ですが、
「同じ土俵に立たない」ことも立派な戦略です。


【出典】

タイトル:高速取引業者、「10億分の3.2秒」巡る対立
URLhttps://jp.wsj.com/articles/high-speed-traders-are-feuding-over-a-way-to-save-3-2-billionths-of-a-second-eb6d437a
媒体名:ウオールストリートジャーナル
掲載日:2025年12月18日