ウォーレン・バフェットの「失敗」から学ぶ、本当に価値ある投資のヒント
投資の世界では、成功の話が注目されがちですが、そこに隠れている「失敗とその教訓」にこそ、本質的な学びが詰まっています。
世界的な長期投資家、ウォーレン・バフェット氏も例外ではありません。むしろ、彼がなぜ今も多くの投資家から尊敬を集めているかというと、成功体験だけでなく、自らの誤りを率直に語り、そこから学び続けているからです。
時間を味方につけた成功例たち
まず代表的な成功のひとつが、1988年に初めて投資したコカ・コーラ。バフェット氏は「好ましい保有期間は永遠だ」と語り、今もその株を保有しています。これは、単なる値上がり益だけでなく、何十年にもわたる配当金収入が積み上がっていく、まさに「時間」と「複利」の力を体現した投資です。
この姿勢は、当サイトの読者にとってもヒントになるかもしれません。早くから始めて、信じられる企業に長く付き合う。これは、どんなに小さな金額からでも実践できるスタイルです。
「いい会社を適正価格で買う」哲学への進化
また、アップルやアメリカン・エキスプレスといった近年の投資では、バフェット氏の投資スタイルが「割安株」中心から「質の高い企業への集中投資」へと進化していることがわかります。
この変化を促したのが、長年のビジネスパートナー、チャーリー・マンガー氏。「安いけれど不安定な企業」よりも「適正価格の強い企業」を選ぶ視点は、企業分析に苦手意識を持つ初心者にとっても心強い考え方です。
失敗の中にこそ、未来の羅針盤がある
一方で、ソロモン・ブラザーズやUSエアへの投資では大きな痛手を負いました。とくにソロモンでは、不祥事の発覚により、バフェット氏が自ら混乱の後処理に奔走することに。「悪いニュースにすぐ向き合うべきだった」と語るこの経験は、投資先の透明性やガバナンスの重要性を強く示しています。
また、航空業界への過大評価によるUSエアの失敗も印象的です。「航空会社を買えば、億万長者でも百万長者になる」というジョークを引用しながら、その業界構造の読み誤りを自ら認めているのです。
情とプライドが判断を鈍らせることもある
投資家としてはめずらしく、バフェット氏はバークシャー・ハサウェイ(元は繊維会社)を買収したことを「人生最悪の決断」と評しています。わずか8分の1ドルの差をめぐる意地の張り合いが、長年苦しむ原因になったという話は、人間的な弱さと、それが投資にどう影響するかを思い出させてくれます。
私たちも投資判断の際には、「感情」や「こだわり」が邪魔していないか、ふと立ち止まってみることが必要かもしれません。
未来への布石としてのエネルギー投資
注目すべき成功例として、ミッドアメリカン・エナジーの買収があります。この電力事業は配当をせず、利益をすべて再投資に回し成長してきました。エネルギーインフラへの長期投資が、今やバークシャーの中核事業となっていることからも、「配当がない=ダメな投資」という先入観は一度捨てて考えるべきかもしれません。
まとめ:投資は“見る目”ではなく“見続ける目”
この記事を通して感じたのは、バフェット氏の強さは「見る目がある」ことよりも、「見続ける力」があること。企業の本質を見抜くこと、そしてそれが正しかったかどうかを時間の中で検証し続けること。それが、資産形成の王道であると感じました。
今の日本にいる私たちが、すぐにアップルやBYDのような銘柄を発掘するのは難しいかもしれません。でも、いい企業と長く付き合う「姿勢」なら、誰にでも真似できるのではないでしょうか。
小さくても、自分なりの「コカ・コーラ」を見つける。そんな投資スタイルを、あなたも少しずつ育てていけたら、と思います。
バフェット氏が成功と失敗から学んだこと
https://jp.wsj.com/articles/what-warren-buffett-learned-from-his-biggest-hitsand-misses-c6b9ad89
データ元:ウォールストリートジャーナル 2025/5/7