ドルは戦争で強くなる?揺れる世界で見えた「安全資産」としての本能
2025年6月、ドルが静かに復権しています。
そのきっかけとなったのが、イスラエルによるイランへの攻撃という地政学的リスクの高まり。
ウォールストリート・ジャーナルの記事によれば、ここ最近までドルの動きは理論からかけ離れた不安定なものでした。米国の金利が高止まりし、他国が利下げに動いているにも関わらず、ドルはむしろ売られ気味。投資理論に反して、通貨の動きは読みづらい展開が続いていました。
しかし、今回の緊張の高まりにより、ドルは**「安全資産」としての真価を再び発揮**したのです。
不安なときこそドルを買え?
記事の中で、注目すべきは「ドルが本来あるべき動きをしている」という指摘です。
つまり、
- リスクが高まればドル高
- 安定すればドル安
という、かつての「セオリー通り」の反応が戻ってきたのです。
たしかに、戦争や金融危機のような“万が一”の時、人々はやっぱりアメリカという国にお金を避難させたくなる。
経済の大きさ、金融市場の深さ、法の安定性――やはり「最後の逃げ場」はドルなのかもしれません。
でも長期ではドルの時代は終わる?
ただし記事は冷静です。
- アメリカの財政赤字と経常赤字の膨張
- トランプ大統領による「米国第一主義」的な外交の影響
- 米国への信頼感の低下
こうした要素から、ドルが今までのように“例外的に強い通貨”であり続ける保証はないと分析されています。
とくに、海外投資家のドル離れが加速しているというデータは衝撃的です。バンカメの調査では、米国資産へのエクスポージャーがここ20年で最低水準とのこと。
日本との比較で見える「経済への危機感」
投資家として見逃せないのは、日本との比較です。
アメリカでは、政治家もメディアも**「財政赤字が国を揺るがす問題」であるという前提で議論が進む**。
それに比べ、日本はどうでしょう?
国の借金がGDPの2倍を超え、金利が上がれば日銀も債務超過の恐れがある中でも、新聞の一面は「コメの価格が下がった」といった話題が占めていたりします。
危機を危機として議論できる社会の方が健全だと、この記事を読んで改めて感じました。
投資家目線ではどう見る?
このように、ドルは短期的には復権しつつも、長期的には不安定な局面に突入しています。
でも、それが逆にチャンスにもなると考えています。
- 地政学リスクが高まる時、リスクオフの局面でドルが買われる
- その後、金利や政治の状況によってドルは調整される
この流れを前提とすれば、「ドルを一時的な避難先として使い、戻り売りを狙う」戦略も考えられるかもしれません。
結局、アメリカは強い
記事の最後には、ドルの反発があったとしても「長期的な展望は明るくない」とあります。
でも私自身は、やっぱり米国の強さは侮れないと思っています。
なにせ、世界が大きな変化に直面したとき、人々は結局ドルを選ぶ。これは、「信頼」という資産がいかに価値を持つかを示しています。
だからこそ、「アメリカに投資する」という姿勢は、これからも中長期で意味を持ち続けると考えています。
ドルの真価、戦争で浮き彫りに
https://jp.wsj.com/articles/war-brings-out-the-best-in-the-dollar-ee329cb6
ウオールストリートジャーナル 2025/6/23
