日経平均は年内に4万円回復?市場の明るい兆しと、見えない落とし穴
ようやく明るい話題が出てきました。クレディ・アグリコル証券の松本賢氏によると、日経平均株価は年内に「4万円台回復」の可能性があるとのこと。相場を追い続けている私たちにとって、久しぶりに前向きな気持ちになれるニュースです。
でも、そこで手放しに喜べるかというと、話はもう少し複雑です。
株価は足元で妥当な水準、でもそれって安心材料?
松本氏は「日経平均のマクロフェアバリューは3万7000円前後」と分析。つまり、現在の3万8000円近辺は“割高”でも“割安”でもない「ちょうどいい水準」。これを聞いてホッとする方も多いかもしれませんが、投資家目線で言えば、ここはちょっと引っかかります。
“ちょうどいい”というのは、“それ以上に上がるためには新しい材料が必要”ということ。要するに、これから買い増すなら「何を根拠に上昇するのか」をしっかり見極める必要があります。
ポイントは日本の政治と米中関係
今回の見通しのカギを握るのは、夏の日本の参院選と、アメリカのトランプ関税政策の転換です。
もし高市早苗氏が次期首相となり、財政拡張的な政策が打ち出されれば、日本経済は久しぶりに“内需主導”へとギアを切り替える可能性があります。消費減税、公共事業、設備投資の促進──これらは一時的にせよ、企業収益や個人消費を押し上げる効果があります。
さらにトランプ大統領も、2026年の中間選挙を見据えて、景気の冷え込みを避ける方向に政策を転換する可能性があると指摘されています。これが事実なら、関税緩和→貿易正常化→輸出企業の利益増という流れが見えてきます。
“好材料”の陰にある“見えないリスク”
とはいえ、前提条件はあくまで「政治がうまく動けば」という話。中東リスク、原油価格の高止まり、アメリカの金融政策のぶれ、トランプ氏の予測不能な言動──これらはすべてシナリオをひっくり返す可能性を秘めています。
つまり、現在の株価水準は「期待先行」な部分もあるということ。逆に言えば、期待が裏切られたときの下落リスクも織り込んでおく必要があります。
バフェットも言っていた“みんなが心配な時こそ”
今回の見通し記事を読んで、ふと思い出したのがウォーレン・バフェットのエピソードです。彼が初めてファンドを立ち上げたのは、アメリカ市場が絶好調だった1950年代。周囲からは「今は株が高すぎる。少し待った方がいい」と言われたそうですが、彼はそれを無視して投資を始め、結果的に大きな成功を収めました。
“世間が言うことはだいたい間違っている”──この言葉、投資をする上で妙にしっくりきます。
今こそ“チャンスを探す目”が必要な時
今のように相場がもみ合っていて、リスク要因もあるけれど明るい材料も見え隠れする──こういうタイミングで「冷静に、でも前向きに」投資判断を下せるかどうかが分かれ道です。
個別銘柄で見れば、内需関連や設備投資を促す分野、あるいは資源高による恩恵を受ける企業など、注目したいセクターはあります。日経平均が4万円に向かうという見立てを信じるか否かは別として、その可能性に乗る準備をしておくことは、投資家として大切なスタンスです。
まとめ:未来は誰にも読めないから、備えておく
マーケットは常に不確実性とともに動きます。誰もが悲観している時はチャンスかもしれないし、楽観している時はブレーキを踏む時かもしれない。今回のような「期待とリスクがせめぎ合う状況」こそ、個人投資家にとって腕の見せ所です。
日経平均株価は3万8000円前後で上値が重い。クレディ・アグリコル証券の松本賢マクロストラテジストに相場の見通しを聞いた。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89385820W5A610C2ENI000
日経新聞 2025/6/16
