インフレ進行中の日本で、なぜ日銀はブレーキを踏まないのか?
2025年6月17日、日銀がまた一つ“慎重すぎる一手”を打ちました。今回の政策決定会合では、国債の買い入れ減額を「緩和」する形で、当初の四半期ごと4000億円から、2000億円ずつの減額へとペースダウン。しかも政策金利は据え置きで、0.5%のまま据え置き継続です。
このニュースを目にして、私としては「あれ? 本当にこれでいいの?」という思いが強く残りました。
インフレ率は先進国トップ水準、それでも利上げなし?
世界的に見れば、日本のインフレ率は今や“世界有数”のレベルに突入しつつあります。それにもかかわらず、金融政策はまるで2020年のまま時間が止まったような姿勢。名目金利が0.5%、実質金利はおそらくマイナス──この状態で円が売られない方が不思議です。
インフレに苦しんでいる国で、金利を上げない中央銀行というのは、極めて珍しい存在です。もちろん急激な引き締めで景気が冷え込むリスクはありますが、それでも一定のバランスは取るべきではないでしょうか。
債務超過を恐れる日銀の“裏の事情”?
今回の買い入れ減額ペースの緩和を見て、「おそらく、日銀は本音では国債価格の急落を避けたいのだろう」と感じます。なにしろ、現在日銀が保有する国債残高は560兆円。日本全体の発行残高の52%にあたります。
これが市場で売られ、金利が上がれば、評価損は雪だるま式に膨らみます。そうなると「日銀の債務超過」──そんな言葉も現実味を帯びてくる。これは誰にとっても避けたいシナリオでしょう。
でも、それを恐れて金融政策が歪められるようでは、本末転倒です。
円安は止まらず、個人投資家には“追い風”?
こうした日銀の“無策”が続けば、円安はさらに進む可能性が高い。すでに為替市場は日銀の緩慢な姿勢を織り込みつつあり、110円台後半から120円超えの水準を見越す動きも出ています。
この動きは、米ドル建て資産や外貨保有の投資家にとってはむしろ追い風になります。インフレ下では現金の実質価値が下がる以上、資産を守るためには「どこに置くか」がますます重要です。
“日本売り”が加速すれば、それは“チャンス”か
日銀の消極的な金融政策は、ある意味で「日本売り」のシグナルにもなります。市場から見ると、「日本は本気でインフレと戦う気がないのか」と映ってしまうのです。
もちろん、これは国家としての弱点です。でも、投資家の視点から見れば、「弱さ」こそが「割安」を生み出す源泉でもあります。
株価、為替、債券──不安材料が多い今こそ、価格が大きく動く局面にあります。つまり、“動く”人にとっては、大きなチャンスが巡ってきているということ。
まとめ:市場が問うているのは「本気度」
今、金融市場が日本に求めているのは「覚悟」です。利上げをするのかしないのか。国債を売るのか、持ち続けるのか。どっちつかずの姿勢は、市場の信頼を徐々に失わせることにつながります。
一方で、これまでの“慎重な日銀”の姿勢は想定の範囲とも言えます。ならば私たち投資家は、それを前提に次の一手を考えるだけ。円安と金利据え置きの継続が見込まれるなら、外貨建て資産やグローバル株式への比重を上げるのも、合理的な選択肢でしょう。
日銀は17日開いた金融政策決定会合で国債買い入れの減額継続を決めた。四半期ごとの減額幅は現状の4000億円から2026年4月以降は2000億円に圧縮し、減額ペースを緩める。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89415940X10C25A6MM0000
日経新聞 2025/6/17
