マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年11月18日
マネサバくん困った

金利上昇でも円安の理由をやさしく解説

■ はじめに:教科書の通りに動かない「円相場」

17年半ぶりに日本の10年国債利回りが 1.75% に上昇。
通常なら金利が上がると、通貨は買われやすくなり、円高になるはずです。

しかし実際の市場はその逆。
60銭ほど円安に動くという、「理屈と現実がズレている」展開になっています。

その背景には、単純な金利差だけでは説明できない“深刻な懸念”が潜んでいます。

ここからは、ゆるめにマネサバくんとの会話を交えながら、なるべく専門用語を使わずに解説していきます。


金利が上がれば円が強くなるんじゃ…?

マネサバくん:おじさん、金利が上がれば円が買われて円高になるんだよね?
それ、ボクでも知ってるよ!

私:教科書ではそうだね。でも現実の相場は“金利よりも信用”を見ているんだ。

マネサバくん:信用?円の信用が落ちてるの?

私:残念だけど、市場はそう見ている部分があるね。

日本の場合、

こうなると投資家は
「金利が上がったから円を買おう」
ではなく、
「金利が上がってるってことは国債が売られてる。つまり信用不安?」
と考えるようになります。

この“見方の転換”が、今回の現象の本質です。


■ 金利上昇 → 円高、ではなく

金利上昇 → 日本国債の信用低下 → 円安

今回の金利上昇は、景気の改善ではなく、

「財政への不安が増した結果、国債が売られている」

という、かなりネガティブな背景を持っています。

記事によると、

つまり市場は

「この国、本当に返せるの?」
「国債を買うのはリスクでは?」

と敏感に反応している状況です。

これが“金利上昇でも円安”の正体です。


トラスショックって何?日本でも起きるの?

マネサバくん:おじさん、“トラスショック”って書いてある記事も有るけど、”トラスショック”って何?

私:2022年、英国で突然大規模減税を発表したら、
『財源はどうするんだ?』と市場が激怒して国債が暴落、通貨も大暴落した事件だよ。

マネサバくん:うわ……。じゃあ日本も?

私:日本も今、財政拡大の方向に強く進んでいるから、
“似た匂い”が出てきているんだ。もちろん全く同じではないけどね。

今回の日本政府案は、

と、かなりの“規模の競り合い”になっています。

これが市場にとっては

「財政赤字がさらに悪化するのでは?」
「国債は本当に安全なの?」

という心理を生み、日本国債が売られ、金利が上昇する原因になっています。


■ 長期金利1.75% ― 17年半ぶりの“異常値”

2008年以来の水準まで上昇した長期金利。
この動きは一時的なものではなく、構造的リスクを抱えています。

●金利が上がる理由

これだけなら普通の市場の動きですが、
今回の背景が問題です。

●背景は“財政不安”

つまり、市場が“日本国の将来の収支”に疑問を持ち始めている。
これが最も大きなリスクです。


株価は上がって、円は弱い…この組み合わせ大丈夫?

マネサバくん:おじさん、日本株が上がってるのは嬉しいけど…最近ちょっと落ちてきたよね?
しかも円安が止まらないし、不安だよ。

私:その不安は正しいよ。今の日本株は“円安マジック”の恩恵が大きいんだ。
実力で上がっているわけではない部分もある。

マネサバくん:じゃあ円安が止まったら…?

私:株価は一度大きな調整を受ける可能性があるね。
今は“円安依存の株高”になっているので、円安の行き過ぎには注意が必要だよ。


■ 金利が上がっても円が買われない3つの理由

ここでは、わかりやすく3つにまとめておきます。


① 金利上昇の理由がポジティブではない

普通は「景気が強い→金利が上がる→通貨が強い」という流れ。

でも日本はその逆。

財政不安 → 国債売り → 金利上昇
という非常に悪い流れ。


② 日本の金利上昇ペースは“世界に比べて遅すぎる”

米国・欧州・豪州などは4〜5%台の金利。

日本の1.7%程度では、
「魅力的な通貨」には見えない。


③ 日本円の“信用リスク”が意識され始めた

金利よりも、

これらが重視されている。

つまり市場は、

「金利より信用を見るモード」

に入ってしまっている。


■ 日本版トラスショックが起きたら?

もちろん、英国と同じ道をたどるとは限りません。
日本は自国通貨建てで国債を発行できるという強みがあります。

しかし、次の点は無視できません。

この組み合わせは、
「国債暴落+円安+金利高騰」
という最悪のパターンにつながり得ます。

市場の信頼は一度失うと戻すのが難しいため、
今が一つの分岐点になっていると言えるかもしれません。


■ まとめ:金利よりも“信用”を見ているのが今の円相場

金利が上がっても円安が続く理由はシンプルです。

これは構造的に非常にまずい兆候です。


■ マネサバ流のやさしい終わり方

マネサバくん:おじさん、金利と円の関係って奥が深いね……。
上がれば円高、って覚えたのに、こんな例外もあるなんて。

私:市場は“シンプルなルール”で動かないときこそ、真剣に見た方がいい。
今回の金利上昇は喜べるものじゃないんだよ。

マネサバくん:うぅ……おじさん、今日はボクの頭のCPUが熱いよ。
でも大事なことだから覚えておくね。


【出典】

タイトル:長期金利1.75%に上昇、17年半ぶり高水準 財政悪化への懸念続く
URLhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB180QT0Y5A111C2000000/
媒体名:日本経済新聞
掲載日:2025年11月18日