マネサバおじさん      

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マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年5月22日

インドネシアの利下げが教えてくれる「柔軟な金融政策」という武器


トランプ政権の関税政策が、アメリカから遠く離れたインドネシアの中央銀行を動かしました。

2025年5月21日、インドネシア中銀は政策金利を0.25%引き下げ、5.5%に。わずかな利下げに見えるかもしれませんが、この決定の裏には、通貨・物価・輸出・消費といった経済全体のバランスを見つめる冷静な視点がありました。

東南アジアの国々は、私たちが思っている以上に経済運営がしっかりしている──この記事を読んで、そんな印象を持った方も多いのではないでしょうか。


トランプ関税の余波、アジア経済にじわり

インドネシアに対するアメリカの関税は、上乗せを含めて実に32%。もはや「懲罰的」とすら思えるこの措置は、中国に代わって“世界の工場”になりつつある東南アジアにも重くのしかかります。

特にアメリカは、インドネシアの第二の輸出相手国。成長のエンジンを輸出に頼っている国にとって、これは大きな逆風です。実際、2025年1〜3月期のGDP成長率は4.87%。21年以降で最も低い水準にまで落ち込みました。

にもかかわらず、インドネシアは「利下げ」という選択を取りました。

これ、簡単そうに見えて、日本のような長年の低金利国にはできない芸当です。


インフレが抑えられているからこそ、打てた“利下げカード”

インドネシアは、過去にきちんと利上げをして金融政策の余地を確保してきました。だから今、関税ショックという外的要因に対して、柔軟に利下げできる。これは「事前に準備してきた国だからこそ取れる対応」です。

しかも、インフレ率は4月時点で1.95%。政府目標の1.5〜3.5%におさまり、通貨ルピアも持ち直し基調にあります。つまり、利下げをしても「通貨安・物価高」というリスクが今のところは小さいわけです。

金融政策の王道は、「平時に上げて、有事に下げる」。まさにそれを地で行くインドネシアの姿勢は、為替や金利の世界にいる者としては非常に頼もしく映りました。


東南アジアの経済運営に見える「地味にすごい」堅実さ

タイもフィリピンも、すでに利下げに動いています。表に出てくる派手な経済成長率やGDPだけでは見えてこない、足腰の強さを感じさせます。

それに対して日本はどうかというと、長年のゼロ金利政策が続いており、下げようにも下げられない状態。つまり“打つ手”がない。

だからこそ、この東南アジアの柔軟な金融政策に「ちょっと羨ましいな」と思ってしまうのです。


投資家として、この流れをどう見るか?

インドネシアのような国が、きちんと経済をマネージして利下げできる余地を持っているというのは、投資対象として見たときに安心材料になります。

新興国=リスク、という見方が今でも根強いですが、しっかりとした政策運営ができている国は、長期的には信頼を集めていくはずです。関税によるショックが一時的でも、こうした政策対応で回復への道筋が見える国は、注目に値します。

もちろん為替や金利の変動リスクは常にあるので、投資する場合は通貨の動きもあわせて見ていく必要があります。でも、「市場とちゃんと向き合っている国」という観点では、インドネシアやタイ、フィリピンは思った以上に魅力的かもしれません。


日本も、そろそろ備える時期かも

日本は長らくデフレと低金利に悩まされてきましたが、ここで東南アジア諸国から学べることは多いです。「平時の積み上げが、有事の柔軟さにつながる」という教訓は、金融政策に限らず、個人の資産形成にも通じるところがあるかもしれません。

利上げができる環境を作っておく。それは、投資でも同じ。余裕のあるときにこそ、しっかりとリスクを抑えた資産形成をしておく。それが、どんな荒波にも動じない土台になるのだと思います。


インドネシア中銀、4カ月ぶり利下げ 米関税の影響見据え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM213LL0R20C25A5000000/
日経新聞 2025/5/21