トランプ政権の関税強化で自動車とエネルギー業界に波紋
新しい関税が米国経済に与える影響
アメリカが新たにメキシコ、カナダ、中国に対して発動しようとしている関税。これが発動されれば、自動車産業をはじめ、広い分野で経済に大きな影響が出るとみられています。
今回の措置は、メキシコとカナダへの25%の関税、中国からの輸入品にはすでに上乗せされている10%の関税にさらに10%を追加するものです。
とくに影響が大きいとされるのは自動車業界です。米国内で販売される車の2割以上はメキシコ・カナダで生産されており、これらに対する関税がコストを押し上げることが確実視されています。野村証券の試算によれば、完成車と部品へのコスト上昇分が価格に転嫁された場合、米国の新車価格は平均で6%上昇し、販売台数は2025年に12%減少する見込みです。
自動車大手に迫るコスト増のリスク
自動車メーカーへの打撃も見逃せません。ゼネラル・モーターズ(GM)はアメリカ市場向けの3割をメキシコで生産しており、関税の影響で25年12月期の営業利益が90%減少する可能性があると言われています。
日本勢では日産自動車とマツダが影響を受けそうです。両社ともアメリカ市場向け車両の約3割をメキシコから輸入しており、特に日産はすでに米国事業が赤字基調。これ以上の負担増加は業績悪化に拍車をかけかねません。
各社とも価格転嫁を最小限に抑えようとしていますが、利ざやの薄い部品メーカーには重い負担がのしかかる見込みです。米国自動車部品工業会(MEMA)は、関税が北米の供給網を弱体化させ、93万人以上の雇用に影響を及ぼすと警告しています。
エネルギー業界にも広がる影響
関税の影響は自動車だけにとどまりません。エネルギー製品にも課税され、特にカナダ産原油に10%、メキシコ産には25%の関税が課される予定です。
アメリカは世界最大の原油生産国ではあるものの、国内製油所が使用する原油の4割は輸入に依存しているのが現実。関税によってコストが上がれば、ガソリン価格の上昇も避けられない状況です。
北米では国境を超えたエネルギーのサプライチェーンが築かれており、今回の措置がこの供給網に与えるダメージは小さくありません。米燃料石油化学製造者協会(AFPM)は、安定した燃料供給を守るために、早急な対策を求めています。
バフェット氏やウォール街からも懸念の声
こうした動きに対して、ウォール街からも警戒の声が上がっています。
バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェット氏は、今回の関税について「ある意味で戦争行為と同じだ」と語り、消費者にしわ寄せが及ぶリスクを指摘しています。
また、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも、関税の応酬が続けばインフレ圧力や景気後退を招きかねないと警鐘を鳴らしました。
自由貿易への本当の意図があるなら
この記事を読んで感じたのは、トランプ政権の関税政策に対する懸念の大きさです。
表面的には自国産業を守るための施策に見えますが、本当に目指しているのが各国との関税廃止を含む新しい自由貿易体制の構築なのであれば、将来的にアメリカがさらに強くなる可能性も考えられます。
ただ、現在のトランプ大統領の姿を見る限り、そのような長期的な戦略を持っているかどうかは疑問が残ります。
投資を考えるなら視野を広げて
もしもこうした政策が長期化し、貿易の自由化が進まずに関税合戦が続けば、米国株だけでなくグローバルな市場にも大きな影響が出るかもしれません。
このような不確実性の高い時代だからこそ、株や為替、金(ゴールド)といった多様な資産への分散投資を意識することが、これから資産を築いていくためのヒントになるかもしれません。
米関税4日発動へ、新車販売12%減か バフェット氏警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03CIO0T00C25A3000000
日経新聞 2025年3月4日
