マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年8月18日

AIブームが新興国市場を押し上げる時代へ

「AIはアメリカのシリコンバレー企業だけの話」――そんなふうに思っている人は多いでしょう。
でも、実際は台湾のTSMCや韓国のサムスン、さらには中国のDeepSeekやインドの開発企業まで、世界中で新しい成長の波が広がっています。

ブルームバーグの記事によれば、今年のブルームバーグ新興国株指数を押し上げた上位6銘柄はすべてAI関連株。TSMC、テンセント、アリババ、サムスン、SKハイニックス、シャオミの6社で、指数上昇分の37%を占めているそうです。米国の「マグニフィセント・セブン」に対抗する勢力として、アジアを中心とした新興国企業が急浮上しているのです。


マネサバくん:おじさん、AIってやっぱりアメリカが一番強いんじゃないの?
:もちろんアメリカはソフトウェアやプラットフォームで圧倒的に強い。でも、AIを動かすための半導体やサーバー、つまり“インフラ”を担っているのはアジア勢なんだ。TSMCやサムスンがその代表例だね。
マネサバくん:なるほど。AIの本体はアメリカだけど、それを動かす土台は新興国が握っているんだね。


実際、台湾の鴻海(フォックスコン)はAIサーバーの需要で四半期利益が27%増という結果を出しました。これまで「iPhoneの組立メーカー」と呼ばれていた会社が、AI時代のサーバー供給源として再評価されているのです。

ここで重要なのは、「AI人気で株価が上がっている」のではなく、「インフラを押さえている企業が利益を確実に取り込んでいる」という事実。AIを動かすには膨大な電力、高性能なGPU、巨大なデータセンターが必要で、これらを提供できる企業が市場の中心に立つわけです。


マネサバくん:でもおじさん、AIって電気代がすごくかかるって聞いたよ。そんなにコストが高かったら、儲けより出費のほうが大きくならないの?
:いい質問だね。確かに電力消費は大きな課題だ。でも、それが逆に「再生可能エネルギー」や「電力効率の高いデータセンター技術」に投資マネーを呼び込むんだよ。つまり、AIは半導体だけでなく、電力インフラや冷却技術まで巻き込んで成長する産業なんだ。
マネサバくん:へぇ!AI関連株っていうとソフト会社ばかりを想像してたけど、もっと広いんだね。


専門家の予測では、今後2~3年は台湾と韓国が新興国市場の中心的な推進力になるとされています。そしてマレーシア、中国、インド、中南米や中東の一部も、AIデータやアプリケーションで相対的に大きな利益を享受できるとのこと。

新興国株というと、これまでは「政情リスクが高い」「通貨危機に弱い」といったマイナスイメージがつきまといました。ところが、AI分野に限れば、むしろ最先端を走っているのが新興国企業なのです。

もちろんリスクはあります。
第一に、すでに株価が急騰しており、短期的な過熱感がある。
第二に、米中対立の影響。半導体は安全保障の問題と直結しているため、地政学的な影響を強く受けやすい。
第三に、インフラコストの高さ。AIが本当に日常生活に浸透するまでに、どの企業が確実に利益を残せるのかはまだ不透明です。


マネサバくん:じゃあ、僕らみたいな個人投資家はどう動けばいいの?やっぱり米国株一択じゃダメ?
:全部を新興国株にする必要はないよ。でも、ポートフォリオの一部にAI関連の新興国企業を入れるのは悪くない。リスク分散にもなるし、将来の成長を取り込める可能性も高い。
マネサバくん:なるほど。20年前にアマゾンやアップルに少し投資していた人が大きな果実を得たように、今は新興国からそういう企業が出てくるかもしれないんだね。
:その通り。今はちょうど種まきの時期。長期で投資を考える人にとっては、これからが面白い局面になるだろうね。


この記事から学べるのは、「AIはアメリカだけの物語じゃない」ということです。
むしろ、半導体やサーバー、電力といった“裏方のインフラ”を握るアジア企業が、次の主役になろうとしています。

投資家がすべきことは、目先の株価の上げ下げに振り回されるのではなく、「どんな仕組みで利益が生まれているのか」を理解すること。そのうえで、時間を味方にして投資を続けていくことが、将来の大きなリターンにつながります。


【出典】

・タイトル:AIブームが新興国市場の成長けん引へ、TSMCやサムスンが主役
・URL:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-18/T15QC6GOT0JK00?srnd=cojp-v2
・媒体名:ブルームバーグ
・掲載日:2025年8月18日