
為替は市場が決めるもの ― ベッセント米財務長官の視点
マネサバくん:おじさん、最近の円安って、結局どうやって止めるの? 為替介入すれば一発じゃないの?
私:介入は短期的には効くけど、長期的には続かないんだよ。今回のベッセント米財務長官の考え方が参考になるぞ。もとソロスの部下で為替相場に強い人なんだ。
政治ではなく、政策で為替を安定させる
2025年8月11日、日経新聞のインタビューでベッセント米財務長官はこう語りました。
「長く続く円安も、日銀がインフレ率や成長率に焦点を当てて金融政策を進めれば、為替レートは自然に調整される」
これは、為替水準を直接いじるのではなく、経済の基礎体力を高めることで相場が自ずと変わる、という考え方です。米国でも「強いドル政策」という言葉は昔からありますが、それは単にドル高を目指すのではなく、ドルを基軸通貨として信頼される存在に保つ政策のこと。
ベッセント氏はクリントン政権時代から「強いドル政策」を見てきた人物で、ヘッジファンドの経営者としても実績を残し、為替・債券市場に精通しています。
マネサバくん:おじさん、つまり“市場に任せる”ってこと?
私:そう。ベッセント氏は“通貨の水準は市場が決めるもの”って明言してる。だから政治的圧力よりも、金利や成長率を整える方が大事なんだ。
米国の強いドル維持策と日本への示唆
ベッセント氏は、海外から米国への投資環境を整えることがドルの強さを保つ秘訣だとしています。
これまで米国は、貿易赤字で海外に流出したドルが米国の金融資産に再び戻る仕組みを利用してきました。今後は規制緩和や減税で、この資金を製造業の国内回帰につなげる方針です。
一方、日本は円安局面になると、どうしても為替介入の議論が先に立ちます。
しかし、ベッセント氏の考え方に従えば、金利政策や経済成長戦略によって自然な相場修正を促すべき。
FRB議長に求める4つの条件
またインタビューでは、2026年5月に任期が切れるFRBパウエル議長の後任に必要な資質も語られました。
- 市場の信認を得られる人物
- 複雑な経済データを分析できる能力
- FOMC内のコンセンサスを築くマネジメント力
- 先行きを鋭く予測できる力
さらに、FRBの独立性が脅かされることを懸念し、金融政策以外の分野(環境問題や規制)に手を広げすぎないようにすべきだと強調しました。
マネサバくん:おじさん、この“独立性”ってそんなに重要なの?
私:めちゃくちゃ重要だよ。FRBが政治に振り回されれば、経済の安定は崩れる。短期の人気取りより、長期的な信頼を守るのが中央銀行の役目だ。
日本へのメッセージ
ベッセント氏の姿勢は、日本にも大きな示唆を与えます。
円安に悩む今こそ、「市場に委ねる部分」と「政策で変えられる部分」を切り分け、インフレ率や成長率という経済の土台を整えるべきです。
短期的な介入は痛み止めにはなりますが、体質改善にはなりません。
日本が長期的に通貨価値と国際的信頼を保つには、為替相場そのものを直接コントロールしようとするのではなく、経済全体の競争力を高める政策が欠かせません。
まとめ
- 為替は市場が決めるべきで、政策は経済基盤を強くする方向に
- 米国は強いドルを維持するため、海外投資環境を整備
- 日本も円安対策は介入より金融政策と成長戦略で
ベッセント氏の冷静で市場原理に忠実な視点は、日本にとっても重要な学びです。
政治的な思惑や短期対応に流されず、長期的な政策の方向性を持つことが、為替安定と経済成長の両立への近道でしょう。
【出典】
- タイトル:円安は「金融政策で自然と調整」 ベッセント米財務長官インタビュー
- URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08D7I0Y5A800C2000000/
- 媒体名:日経新聞
- 掲載日: 2025年8月11日
