マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年8月31日

FRBの独立性揺らぐなかで高まる金の存在感

2025年8月末のニューヨーク市場で金が再び脚光を浴びました。NY金先物は一時1トロイオンス=3518.5ドルと、3週間ぶりの高値をつけました。背景にはトランプ大統領によるFRBへの政治的圧力が強まっていること、そしてその独立性が揺らいでいることがあります。

「FRBの独立性」――これが損なわれれば、ドルという基軸通貨の信頼そのものが揺らぎます。市場はそれを敏感に察知し、ドルを売って金を買う動きへとつながったのです。


マネサバくん: おじさん、FRBってそんなに大事なの?政治家が口出ししたらどうなるの?
私: 中央銀行は通貨の価値を守る最後の砦なんだ。政府が勝手にお金を刷れないように独立している。ここが揺らぐと「ドルって本当に信用できるの?」という疑念が広がり、投資家は金に逃げるんだよ。
マネサバくん: なるほど…お金の番人が信頼されなくなるのは怖いね。


トランプ政権とFRBの摩擦

今回の直接の引き金は、トランプ大統領がFRBのクック理事を解任すると表明したことでした。クック氏はこれを「違法だ」として訴訟に踏み切り、政権との対立は激化しています。

この動きは、つい先日トランプ氏がパウエル議長の解任を示唆して市場を混乱させた流れと重なります。その際はベッセント財務長官が「解任はない」と火消しに回り、一旦は相場が落ち着きました。しかし今回は現実に理事解任が進んでおり、事態は一段と深刻さを増しています。

米国の金融政策は「FRBの独立性」というルールがあってこそ機能してきました。その基盤が揺らげば、ドルの価値を支える根拠が薄れます。市場が安全資産に逃げるのは当然のことです。


ドルの揺らぎと金の存在感

29日の取引ではドルが売られ、金が買われました。米国はこの週末からレーバーデーを含む3連休に入ることもあり、市場参加者は「不測の事態に備える」動きを強めました。

特に薄商いの時間帯にテクニカルな買いが入り、金相場は押し上げられました。マーケットアナリストの豊島逸夫氏によると、投機筋が金の売り持ちを解消したことや、株式などのリスク資産から金に資金を移す動きも相まって上昇が加速したといいます。

一方、円に対してもドルは一時売られましたが、取引終盤では値を戻しました。ただし私自身は「円を買う選択肢はない」と考えています。日銀の財務状況を見れば、円の信用力は大きく損なわれている。これまでドルを代替資産と見てきましたが、今の政権下ではドルすらも不安定に見えるのです。


マネサバくん: おじさん、じゃあ円もダメ、ドルも信用できないってなったら、何を持てばいいの?
私: そういう時に登場するのが金なんだよ。金は誰の負債でもなく、中央銀行や政府の信用に頼らない。歴史的に「最後の砦」として機能してきたんだ。
マネサバくん: なるほど、だから金が買われるんだね。


日本市場でも金価格は最高値

大阪取引所の金先物も1グラム=1万6441円と最高値を更新しました。円安と国際価格の上昇が相まって、日本国内でも金高の流れが続いています。

この動きは、単なる一時的な投機ではなく、世界中で「信用できる通貨が減っている」ことの裏返しです。米国が政治的な混乱でドルの信頼を落とし、日本は財政赤字と日銀の膨大な国債保有で円の信頼が揺らぐ。その結果、資金が一斉に金へと向かう構図が出来上がっています。

さらに言えば、現在の東京工業品取引所での金先物の価格は、決済が遠いものの方が速いものよりも高い状態になっています。これは金利が有る世界では普通の事です。
しかし、今年の10月に決済される先物より、現物価格の方が1,000円以上高い状態となっています。これは投資としての金より、現物として持っている金に投資家が価値を見出している事になります。
日本でも現物資産としての金の価値が上がっているという事です。


投資家にとっての教訓

投資家として学ぶべきは、**「通貨も無限に信用できるわけではない」**という現実です。

私自身、金を投機的に売買するのではなく、リスクヘッジ資産として長期保有する意味を改めて考えています。通貨不安が広がる時代、金は「保険」としての役割を持つからです。


マネサバくん: でもおじさん、金利も配当も出ない金を持つのって、本当に正しいの?
私: 普段ならリターンのない資産は持ちにくい。でも「信用リスクから逃げたい時」には無類の力を発揮する。つまり、リターンを稼ぐ資産と、リスクから守る資産を分けて持つのが賢いやり方だよ。
マネサバくん: なるほど!攻めと守りをバランスよく持つのが投資なんだね。


まとめ

FRBの独立性を巡る懸念は、ドルの信頼性に影響を及ぼしつつあります。政治の圧力が強まり、金融政策がゆがめられるリスクが現実化するなかで、金は改めて「最後の砦」として存在感を高めています。

日本でも円の脆弱性が意識される中で、金の価格は最高値を更新しました。投資家にとっては、通貨に依存しない資産をどう組み込むかがこれからの大きなテーマになるでしょう。

金は配当も金利も生まない。しかし「信用が崩れる時」にだけ強烈な意味を持つ。これが金という資産の本質であり、いま改めてその役割が試されているのです。


【出典】

・タイトル:NY金が3週間ぶり高値 揺らぐFRB独立性、連休前にリスク回避強まる
・URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB29CHJ0Z20C25A8000000/
・媒体名:日経新聞
・掲載日:2025年8月30日