マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年9月1日

円高を阻む「悪い金利高」とは何か

2025年8月31日付の日経新聞に「円高阻む『悪い金利高』論」という記事が出ました。長期にわたって相場の常識とされてきた「日米金利差と円相場の連動」が崩れ始めているという内容です。通常であれば、日本の金利が上がれば円が買われ、ドルに対して円高が進むのが自然なはずです。ところが実際には、金利差が縮んでも円相場は140〜150円台で停滞したまま。ここに「悪い金利高」という言葉が出てくるのです。


マネサバくん: おじさん、「悪い金利高」ってなんだか矛盾してない?金利が上がるって景気が良い証拠じゃないの?
私: いい質問だね。普通はその通りで、金利上昇は景気拡大のシグナル。でも今の日本は違う。景気が良いから上がっているんじゃなくて、財政リスクや物価上昇への警戒が原因なんだ。つまり「信用コストの上昇」なんだよ。
マネサバくん: なるほど、ポジティブな理由じゃないのに金利だけが上がってるんだね。


金利差と相場の関係が崩れる背景

今年の春までは、日米の金利差が縮まると円は買われて150円近辺まで戻る動きがありました。しかしその後は、さらに金利差が縮まっても円高が進まず、140〜150円の間で膠着しています。

理由の一つは、日本の金利上昇が景気拡大を伴っていないことです。

こうした要因が重なり、投資家から見れば「日本の金利上昇=投資妙味」ではなく「リスクシグナル」と映ってしまうのです。


マネサバくん: じゃあ、投資家は円を買わないでどうしてるの?
私: ドルも不安視されているけど、結局まだ世界のお金はドルにとどまっている。加えて、金やスイスフランなど「安全資産」とされるものに一部が流れているんだ。
マネサバくん: 円は「安全資産」って昔よく聞いたけど、今はそうじゃないんだね。


歴史を振り返ると

記事によれば、日本の長期金利は1.6%を突破し、リーマン・ショック直後の2008年以来の高水準です。当時も政策金利は0.5%で、世界経済の低迷を受けて利下げに転じました。今回も状況は似ていて、物価上昇で実質金利はマイナス圏のまま、景気は力強さを欠いています。

さらに参院選後の政局では財政拡張路線が意識され、財政規律を重視する声は後退。これが「悪い金利高」論に現実味を与えています。


投資家の視点から

投資家として見ると、円はかつての「リスクオフの避難先」という役割を失いつつあります。

こうした背景から、円を買うインセンティブが弱まりました。相対的に見れば、まだドルや金の方が安心感を持たれているのです。


マネサバくん: おじさんはこれから円はどうなると思う?
私: 正直に言えば、円安方向だと考えているよ。日米金利差が縮んでも円高にならないなら、それは構造的に円が弱いってことだからね。
マネサバくん: じゃあ、投資家は円を避けて他の資産に向かうんだね。


まとめ ― 円はもはや「避難先」ではない

今回の記事が示すのは、金利差という伝統的な相場の指標が通用しなくなりつつある現実です。金利が上がっても円が買われないのは、それが「悪い金利高」だから。つまり、日本経済や財政への不安が背景にある金利上昇である限り、円の信認は高まらないということです。

ドルにも不安はあります。しかし少なくとも短期的には、世界の投資マネーはまだドルを選んでいます。そして一部は金へと流れ、金価格は上昇基調を続けています。

投資家としては、「円はもはやリスク回避の資産ではない」という視点を持つことが重要です。通貨の世界では、常識が崩れる瞬間が必ず訪れます。今まさに、その転換点に私たちは立っているのかもしれません。


【出典】

・タイトル:円高阻む「悪い金利高」論 崩れる日米金利差との連動
・URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD292KU0Z20C25A8000000/
・媒体名:日経新聞
・掲載日:2025年8月31日