個人投資家のリアルな視点に学ぶ、銘柄選びのヒント
株式投資の情報は、プロのアナリストやメディアの発信が多いですが、実際に自分のお金を使って投資している個人投資家の意見も、時には鋭くて参考になります。
今回は、日経マネー連載「マーケット時事放談」で語られたくら寿司の株主優待復活や商社株の投資妙味、さらには創業者経営の是非についての個人投資家のリアルな声をまとめました。
くら寿司、優待再導入に見る経営判断のブレ
くら寿司が一度廃止した株主優待制度を、わずか2カ月で再導入。この一連の動きについて、個人投資家のussiさんは**「少数株主のことをちゃんと考えていない」**と批判的。
再導入の翌日には株価がストップ高となりましたが、そもそも方針がコロコロ変わる企業は信頼できないと冷静に見ています。
一方で、木原直哉さんは、企業が株価を上げる動機があるかが大事だと指摘。例えば、コロワイドのように資金調達をM&Aに回す戦略がある企業は、株主還元策を維持するインセンティブが働くため、安心感があると述べています。
創業者経営はプラスかマイナスか
ZOZOの前澤友作氏が、2019年にLINEヤフーに株を売却し、社長を退任した判断についてussiさんは**「創業者だからできた決断」**と高く評価。サラリーマン経営者なら、同じ判断は難しかっただろうという視点は、非常に示唆的です。
ただし、木原さんは、創業者が大株主の企業には良し悪しがあると指摘。サイバーエージェントのように成長を牽引するパターンもあれば、株主還元を無視して株価が低迷し続ける企業もある、とバランスの取れた見方をしています。
商社株に投資妙味はあるか?
話題は商社株へ。米バークシャー・ハザウェイのバフェット氏が日本の5大商社株を買い増したニュースも記憶に新しいですが、木原さんは**「事業が多様すぎて、業績の先読みが難しい」**と商社株には否定的。
一方で、情報収集に時間をかけられない個人投資家にとっては、商社株=分散投資の手段になるので悪くないとも。ただ、ussiさんも「プロのアナリストががっつり分析しているセクターに個人が勝つのは難しい」と慎重なスタンスを取っています。
投資しやすいのはシンプルなビジネスモデル
木原さんが重視しているのは、ビジネスモデルがシンプルな企業。例えばワシントンホテルのように、ホテルブランドが2つしかなく、業績予測がしやすい企業に投資するとのこと。
- 過去と現在の1室単価や稼働率を比較
- 売上・利益の予測精度を高める
といったアプローチで、5%程度の売上誤差、20%程度の利益誤差に収める自信があるそうです。
また、鶏卵価格の動向を見て、ホクリヨウやキユーピーといった関連銘柄を分析するなど、テーマ性の高い材料にも注目して投資判断をしているとのこと。こうした地に足のついたリサーチは、個人投資家が真似しやすいスタイルかもしれません。
まとめ:個人投資家が学ぶべきポイント
- 経営方針の一貫性:方針がブレる企業は要注意
- 創業者の存在感:プラスにもマイナスにも働く
- シンプルなビジネスモデル:業績予測がしやすい銘柄を狙う
- テーマ投資:社会トレンドに敏感であること
こうしてみると、個人投資家だからこそできる身軽で実直な銘柄選びが、長期的なリターンに繋がるのかもしれません。
ちなみに、投資家視点を磨きたいなら、ファンドマネージャー経験者が書いた**「わが投資術」**もおすすめの一冊。独特の銘柄選びで「人が行かない道を行く」思考法が学べます。興味がある方はぜひ手に取ってみてください。
くら寿司の優待再導入や商社株の投資妙味 どう見る?
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB03C2L0T00C25A4000000/
日経新聞 2025/4/4