
10代のSNS疲れと親子ルールの作り方
短文社会で伝わらない“気持ち”
マネサバくん:おじさん、10代でも「SNS疲れ」って本当にあるの?
私:あるよ。とくに短文やスタンプ中心のやり取りだと、気持ちが伝わらず誤解が増える。心理学でも、文字だけのコミュニケーションは行き違いが起きやすいと指摘されているんだ。
マネサバくん:確かに、対面で言えば冗談なのに、文字だとキツく見えちゃうことあるもんね。
10代の間でSNSが負担になっている事を昨日の日経新聞で取り上げていました。
いまのSNSは「会って話しているつもり」で文字だけを投げ合う。ニュアンスが削ぎ落ち、摩擦は増える。まずは、この環境そのものがしんどさを生んでいる様です。
規制で縛れば解決?—違和感の正体
マネサバくん:「じゃあ、スマホは“1日2時間”にすれば?」
私:そこに強い違和感がある。細かすぎる法律は抜け道を生み、かえって治安や秩序を傷つけることがあるんだ。
マネサバくん:なるほど、数字で縛ると、かえって形骸化するってことか。
「睡眠のために2時間」みたいな目的自体には頷けます。でも、一律の行動規制で生活の細部まで政治が決めてしまうのは危うい。家庭や子どもの事情は千差万別。合意と納得の設計こそが長続きするのではないでしょうか。
学校タブレットは見直す?—“道具”の選び方
スウェーデンの様に低学年は紙と手書きへ回帰した国もあります。日本でも「学力や費用対効果」の検証を冷静にやるべきだと私は思っています。
- タブレットが本当に基礎学力を底上げしているのか
- 家庭への**負担(費用・管理・視力・睡眠)**は見合っているのか
- どの教科・学年なら紙が有利で、どこからデジタルが効くのか
マネサバくん:授業でデジタルを推しておきながら「スマホは悪」とは言いにくいよね。
私:だからこそ、目的に合う道具を使い分けよう、という大人の態度が問われるんだよ。
「SNS疲れ」を軽くする親子ルール(合意型ミニ設計)
一律規制より合意ルール。ここでは日経新聞で取り上げられていた“現実解”を紹介します。
1) 時間と場所の線引き
- 就寝1時間前は通知OFF(睡眠を守る)
- 勉強机・食卓では使わない(“ながら”を断つ)
- 週1回のオフライン・デー(家族で外に出る・紙の読書)
2) 伝わり方の質を上げる
- 感情を含む話題は通話か対面(テキストは要件・日時・期限に絞る)
- 誤解しやすい冗談・皮肉は控える(省略語は最小限)
- “ワンテンポ置く”返信(すぐ返さない自由を合意)
3) つながりの距離を調整
- グループを目的別に分割(クラス/部活/遊び)
- 既読圧を弱める文末:「今日は既読だけでOK」「返事は明日で大丈夫」
- 断りのテンプレ:「今は勉強中、21時以降に返すね」
4) セーフティと習慣化
- 優先通知の層分け(家族・学校だけ常時ON)
- 位置情報・公開範囲の家族確認
- 困ったらスクショ→相談(証拠を残す)
合言葉は**「短く・遅く・安全に」**。—“すぐ・長く・丸裸”をやめるだけで、疲弊はぐっと減る。
誤解を減らすミニスキル(10代向け)
読む前に:
- 最悪解釈を避ける:「怒ってる?」は“忙しいのかも”と読み替える
- 背景を想像:相手の時間帯・場所・状況
書く前に:
- 要件→背景→期限で1~2行
- 感情は明示:「助かる!」「急ぎません」
- “既読のみでOK”の許可を添える
マネサバくん:これ、受験生にも効きそう。既読圧が減れば勉強に集中できる。
私:そう。集中=幸福に直結する。まずは“通知の断捨離”からだね。
投資家の視点:デジタルと賢く距離を取る
投資家の観点ではスマホはありがたい。
だからこそ、便利さに吞まれない設計が必要です。
- 一次情報を優先:SNSの噂より決算・公的統計
- 時間の窓枠化:相場ニュースは朝・昼・夜の3回×10分に集約
- “遅い売買”の設計:重要な売買は一泊おく
- 通知をKPI化:1時間の通知回数を上限5回に絞る
SNS疲れを減らすことは、そのまま衝動取引の削減につながる。デジタルとの距離を取るのは、メンタルのためだけでなく資産を守る行為でもある。
家庭ミーティングの台本(そのまま使える)
日経新聞での提案は以下の通り。なるほど。
- 見える化(5分):スクリーンタイム週報を一緒に確認
- 気持ちの交換(各2分):親「心配は○○」、子「困ってるのは○○」
- ルール選定(10分):上の①~④から各1つ
- 例外規定(3分):テスト週・大会・旅行など
- 見直し日(1分):2週間後の同曜日に再チェック
ルールは最大5つ。増やすより続ける。違反時は罰より再設計(例:就寝前はリビングで充電)。
それでも“怖い時代”にしないために
マネサバくん:規制が増えて、なんだか息苦しい時代になりそう…。
私:だからこそ、家庭・学校・地域での対話を増やしたい。一律禁止より、納得のルールと使い分けを。
マネサバくん:SNSもタブレットも、目的に合えば味方ってことだね。
私:うん。道具を「悪」にするか「資産」にするかは、距離感のデザイン次第なんだ。
まとめ:合意と使い分けが“疲れ”を軽くする
- 短文中心は誤解を生む—文字の限界を前提に
- 一律規制は違和感—家庭ごとの合意ルールへ
- 学校タブレットは検証を—教科・学年で使い分け
- 投資家は“遅い判断”の設計—見る時間と通知を絞る
「SNSは悪者」でも「全面肯定」でもない。短く、遅く、安全に。
家族の合意で、疲れないデジタルとの付き合い方を今日から始めよう。
【出典】
タイトル:10代もSNS疲れ「感情読めず」7割、「面倒」5割 親子でルールを
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD224M70S5A920C2000000/
媒体名:日本経済新聞
掲載日:2025年9月26日