
金は最後のお金?
投資家が知っておくべき「通貨としての金」の本質
金(ゴールド)という資産には、不思議な魅力があります。
「光り輝く宝石のように価値を放ち続ける」そんなイメージもあれば、「配当も利子もつかないから投資としては微妙」という声もあります。
けれど歴史を振り返ると、金はただの投資商品以上の存在であり、まさに「最後に残るお金」としての役割を果たしてきました。今回は、田中貴金属の長期データを参考に、金の価値の推移と投資家としてどう向き合うべきかを考えてみます。
マネサバくん:おじさん、金ってそんなにすごいの?宝飾品とか縁起物のイメージしかないよ。
私:実はね、1897年、つまり明治30年の金価格は1グラム67銭だったんだ。それが128年後の今では1グラム19,000円。なんと28,000倍以上になってる。年率換算すると約8.3%の利回りになるんだよ。
マネサバくん:えっ、意外と高い!でも128年って…長すぎない?
私:そう、それがポイント。年8%ちょっとでも、時間を味方にすれば爆発的に資産は増える。これは投資の基本でもあるんだ。
金は「投資商品」か「通貨」か
金価格のチャートを眺めていると、1980年の6,495円をピークに、その後は20年近く下落し、1999年には917円まで下がっています。投資商品として「買って放置」するのは正直心もとないように見える瞬間もあります。
しかし、金を通貨として見れば話は変わります。通貨の価値は国力に直結するため、弱体化した国の通貨は金に対して下がっていく。
例えば、明治4年には1ドル=1円でしたが、現在は1ドル=140円台。日本円は長期で大きく価値を失いました。ところがそのドルに対しても金は上がり続けている。つまり「通貨が持つ不安定さ」と「金の普遍性」がはっきりと浮かび上がるわけです。
マネサバくん:なるほど。じゃあドルや円みたいな通貨より、金の方が安心ってこと?
私:必ずしもそうとは言えないよ。金は配当も生まないし、価格が長く停滞することもある。でも「最後に頼れる資産」としての役割は歴史が証明している。だからポートフォリオの一部として持つ意味は大きいんだ。
マネサバくん:じゃあ、今からでもちょっと買っておいた方がいいのかな?
私:それは投資全体のバランス次第だね。株や債券のリスクを取るからこそ、金で安定を補うという考え方ができるんだ。
政府と通貨、そして金
各国政府は景気対策や人気取りで、ついバラマキをしたがります。結果として通貨の価値はじわじわ下がる。金が長期的に値上がりしてきたのは、裏を返せば「政府は放っておくと貨幣価値を減らす」存在だからとも言えます。
日本のデフレ期は政府が通貨対策を取らなかったことが原因だと言われますが、結果的には「円の大幅な信用失墜」を免れた面もありました。とはいえ、現在の急激な円安を見ると、政府がいかに通貨のコントロールに苦戦しているかも分かります。
つまり、投資家にとって金は「政府や中央銀行を信用しすぎないための保険」。この視点を持つかどうかで、長期的な資産形成の安定度は大きく変わってくるでしょう。
マネサバくん:おじさん、結局「金は投資なのか保険なのか」どっちなの?
私:両方だよ。投資としては地味だけど、通貨が崩れる時に頼れるのは金。だから金は「最後のお金」と呼ばれているんだ。
マネサバくん:なるほど…ペンギンが氷の上で滑っても、最後に立て直すのが金ってわけか。
私:その例え、いいね。ちょっとかわいいけど本質を突いてるよ。
投資家としての教訓
- 時間を味方にすること
年率8%程度でも、長期で複利が効けば莫大な差が生まれる。 - 通貨を疑う視点を持つこと
円やドルも無限に信用できるわけではない。政策や国力で価値は揺らぐ。 - 金は最後の保険
配当は生まないが、通貨の信用が落ちても残るのが金。
金を中心にした資産形成は退屈かもしれません。けれど「最後のお金」として金を少し持っておくことは、投資家にとって心の支えになります。未来は誰にも読めません。だからこそ、最後に残るものを一部でも確保しておくことは、とても現実的な戦略なのです。
さて、あなたは「最後のお金」としての金をどのくらい信じますか?
