
財政赤字と税収の裏側
財政赤字の裏側と「税収上振れ」のカラクリ
日本の財政赤字は年々積み上がっています。
「対GDP比では改善している」という説明も聞こえますが、実際のところは“円の価値が下がったことによる見かけ上の改善”という面が大きいのが現実です。
そんな中、政府が大規模な経済対策を行うときに必ず登場するのが 税収の『上振れ』 という言葉。
今回のブルームバーグの記事では、この“上振れの仕組み”について詳しく書かれていました。
ここからは、マネサバくんと一緒に分かりやすく見ていきます。
■ 1:そもそも「税収上振れ」って何?
まず最初に、この記事が扱うテーマを整理しましょう。
マネサバくん:おじさん~、『税収が上振れしてます!』ってよくニュースで聞くけど、これは何なの? お寿司のネタが“2カン多くついてました”みたいな得した話?
私:それがね、そう単純でもないんだ。『最初に低く見積もっておけば、実際に税収が少し増えただけで“上振れした!”と言える』という側面もあるんだよ。
税収は毎年予算を組む段階で予測されます。
ところが政府の見積もりは比較的“保守的”に作られている傾向があると言われています。
実際、過去10年のうち7回は税収が上振れしている。
一方で、もちろん景気悪化やコロナのような外的ショックで“下振れ”する年もあるわけです。
ただ近年は「税収はだいたい上振れするもの」というイメージが強く、補正予算の財源として組み入れられる場面も増えています。
■ 2:なぜ税収は上振れしやすいのか?
記事では、上振れの理由として主に2つが挙げられています。
●(1)そもそも財務省の見積もりが慎重
財務省が法人税を試算するとき、企業側の収益見通しをベースにします。
企業は「控えめに予想する」のが一般的なので、税収見積もりも慎重になりがち。
●(2)歳入欠陥(税収不足)を避けたい動機
予算で「税収○兆円」と見込んだのに、実際にはそれだけ入ってこないと“歳入欠陥”という状態になります。
財務省としては、この状態をできるだけ避けたい。
結果として、税収が見込みを上回りやすい構造になっています。
マネサバくん:つまり、おじさん。税収が増えたって言っても“本当に景気がよくて増えた”のか、“最初の見積もりが低かっただけ”なのか分からないってこと?
私:そういうこと。数字だけ見ると景気が強く見えるけど、実は“控えめに見積もってただけ”という場合もあるんだよ。
補足すると、所得税の上振れは特に大きく、背景には 配当所得など金融所得の増加 があると分析されています。
これは、日本企業の内部留保の増加や株主還元の強まりとも関係があります。
■ 3:税収が下振れすると何が起きるか?
もちろん上振ればかりではありません。
2019年度は税収見込み62.4兆円に対して実績は58.4兆円、なんと 4兆円以上の下振れ。
原因は米中貿易摩擦やコロナなど。
その結果、2兆円超の赤字国債を追加発行。
これは「見積もりが甘すぎた」という問題ではなく、予測できない外的ショックによるものですが、財政運営が難しいのはこうした点です。
■ 4:問題は“税収上振れではなく、財政赤字の膨張”
ここからは、この記事を読んだ私の視点。
日本では「税収が上振れしました!」と言われると、
「じゃあ予算を使って景気対策を」となりがちですが、
本来は 財政赤字を減らす方が先 では?という疑問があります。
特に今の日本は、
- 円の価値が下がり続けている
- インフレはすでに2%以上の体感
- 国債は過去最大規模
- 日銀は大量の国債と当座預金を抱え、利上げしにくい
- 通貨防衛の手段が乏しい
という状況。
私の感覚では、「財政赤字の圧縮こそ最優先」だと思っています。
マネサバくん:でもおじさん、日本は『GDP比では借金が減ってます!』って言ってなかった?あれはどういう話なの?
私:あれは“円の価値が落ちた結果、名目GDPが膨らんだ”という側面も大きいんだ。借金の額が減ったわけじゃない。むしろ円建ての負債を持つ国にとってはインフレの方が都合がいいとも言えるね。
マネサバくん:えっ、じゃあ貯金してる人は損してるだけ…?
私:そう。金利がほとんどつかないのに物価が上がってるから、実質的に資産価値が目減りしてる。
■ 5:日本が抱える“通貨のジレンマ”
日本は「利上げによる通貨防衛」がほぼできません。
なぜなら利上げすると、
- 日銀の保有国債の評価損が拡大
- 当座預金の利払いが急増
- 日銀の財務が一気に悪化
こうなるからです。
そのため円安に歯止めをかける手段は“為替介入”だけ。
しかし為替市場の1日の取引量は約100兆円。
日本が持つ外貨準備は200兆円弱。
効果は限定的です。
■ 6:税収上振れよりも重要なのは「財政赤字の構造」
記事にもあったように、最近は“税収上振れを期待した補正予算”が増えているように見えます。
しかし本来は、
- 税収上振れ → 財政赤字の縮小
- 下振れ → 補正で対応
という順序が正しいはず。
ところが現実は、
- 税収上振れ → 経済対策の財源に利用
- 財政赤字 → さらに膨張
という逆転現象が起きています。
■ 7:歴史は繰り返す?インフレの末路
1923年ドイツでは1年で物価が 1兆倍 に跳ね上がりました。
もちろん、いまの日本がそこまで極端な状況になるとは思いません。
ですが、財政赤字の膨張と通貨価値の下落がセットになると、経済に大きなダメージを与えるのは歴史が示している通りです。
日本の現在地を見ると、「財政規律」が緩みつつある懸念は拭えません。
■ まとめ:税収の上振れは“良いニュース”とは限らない
税収が上振れするのは一見良い話に聞こえますが、実際には
- 見積もりが保守的すぎる可能性
- 上振れ分がそのまま補正予算の財源になる
- 財政赤字は改善しない
- 円の価値は低下を続ける
- 貯金の価値がじわじわ目減り
という構図があります。
マネサバブログでは、こうした“見えにくい経済の裏側”も分かりやすく解説していきます。
投資は自己責任ですが、だからこそ「国の財政状況」や「通貨の価値」は長期投資に深く関わる重要テーマです。
マネサバくんと一緒に、これからも正しい知識を積み上げていきましょう。
【出典】
[タイトル]:「税収上振れ」のカラクリ、補正予算の財源論で再三登場-過去下振れも
[URL]:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-26/T5LOO9KJH6V500?srnd=cojp-v2
[媒体名]:ブルームバーグ
[掲載日]:2025年11月26日
