日本のジェンダーギャップ118位に思う、投資と多様性の意外な接点
6月12日、世界経済フォーラム(WEF)が発表した「2025年版ジェンダー・ギャップ報告」。日本の順位は、全148カ国中118位でした。主要7カ国(G7)中では、もちろん最下位。昨年と同じ順位という点から見ても、日本の男女格差の根深さはなかなか変わっていないようです。
「多様性」は、企業の力を高める土台
ここ数年で、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が注目を集める中、「D=Diversity(多様性)」の重要性もようやく日本でも話題に上るようになってきました。とはいえ、日本の企業や政治の現場では、まだ「多様性」という言葉は理想論として片付けられている気がします。
今回の報告でも、日本は「政治参加」で125位、「女性管理職」では127位と、明らかに見劣りする結果です。経済分野では女性の労働力参加率がやや改善したものの、まだまだ「女性が意思決定の場にいない」という構造的な問題は変わっていません。
これ、企業価値にも効いてくる話です
投資家としての視点から言えば、「多様性の欠如」は単なる倫理的な問題ではありません。企業にとって明確なリスクでもあります。
同じ背景、同じ価値観、同じ性別のメンバーばかりが集まった経営チームでは、新しい発想や変化への対応力が育ちにくいもの。逆に、多様なバックグラウンドの人材を持つ企業の方が、変化に強く、持続可能性が高いという研究結果も出ています。
実際、アメリカや欧州では、ジェンダー平等の取り組みが進んでいる企業が、株価のパフォーマンスでも良い結果を出しているケースが増えてきています。日本でもこれからの投資判断には、こうした非財務情報をどう扱うかが一段と重要になってくるでしょう。
「123年かかる未来」に、今から備える
世界経済フォーラムの報告では「完全な男女平等の実現にはあと123年かかる」との試算もありました。もちろん、この数字を鵜呑みにする必要はありませんが、少なくとも「自然に解決する」問題ではないという点では明らかです。
日本ではいまだに「多様性」や「女性活躍」がスローガンの域を出ていない印象もありますが、他国ではそれが「企業競争力」や「国家戦略」のレベルで捉えられていることを忘れてはいけません。
トランプ時代の逆風が、むしろチャンスかも?
アメリカでもトランプ大統領の下、LGBTや人種・性別に関する議論は逆行する場面も増えてきています。ただ、こうした“逆風”があるからこそ、「多様性を武器にする企業」が一層際立つチャンスでもあるんです。
差別を無くし、多様性を重視する企業が今後注目されるようになるとすれば、それはESGの流れを追うというよりも、単純に「利益につながる」という実利の面から評価されるようになるかもしれません。
だからこそ、投資家としては、「誰が会社を動かしているか」「その企業文化は多様性に開かれているか」といった点に、これまで以上に目を向けていきたいところです。
成長する社会に乗るか、硬直した構造に付き合うか
最終的に問われるのは、私たち自身の選択です。成長する企業や社会に投資したいなら、多様性が促進されているかを見逃さない。形式だけの「女性役員登用」ではなく、文化として根付いているか。そんな“定性情報”を評価できる眼が求められる時代です。
私たちの資金が、どんな未来を支えるのか。投資という行為には、そんな社会的責任もあるのだと改めて感じました。
スイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)は12日、148カ国の男女平等度を順位付けした2025年版「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」を発表し、日本は118位だった。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89309190S5A610C2MM0000
日経新聞 2025/6/12
