
頭の柔らかさは投資家にも必要だった
マネサバくん:おじさん、今日のテーマは「投資」じゃないんでしょ?
私:そうだね。今日はちょっと違う角度の話。「検閲は人間の脳を害する」っていうWSJの記事を読んで、すごく考えさせられたんだ。頭の柔らかさは投資にも重要だからね。
マネサバくん:脳を害する?検閲って言論の自由の問題でしょ?どうして脳にまで影響があるの?
検閲と脳の「習慣」
記事によると、僕たちの脳は「繰り返すことを習慣にする」仕組みを持っているそうです。テニスのサーブやピアノの練習がそうであるように、「考え方」も脳に刷り込まれる。
もし自分と同じ意見だけを毎日浴び続けたら、それが「唯一の正解」として脳に固定されます。すると、異なる意見に触れたときに拒絶反応や過激な態度が出やすくなる。これが「脳を害する」という意味なんですね。
マネサバくん:あー、分かる。SNSで自分の好きな意見ばかり見てると、ちょっと違う考えにすぐイライラしちゃうのと同じだね。
私:そうそう。脳がだんだん硬くなっていくんだよ。
頭の柔らかさが失われると
記事では旧東ドイツの例も紹介されていました。社会主義体制の下で「同じ意見」に従わされ続けた人々は、新しい挑戦を避け、起業家精神を失い、信頼関係を築くのも遅くなった。
これは国家全体の「頭の硬さ」が経済成長を奪った例です。
投資の世界でも同じことが言えます。
「不動産こそ安全」「株は危険」などと一つの考えに縛られていたら、世界の株価上昇に乗り遅れます。逆に「株しかやらない」と思い込めば、債券や不動産がチャンスをくれる時期に気付けません。
つまり、頭が硬くなることは、そのまま「チャンスを逃すこと」につながるのです。
マネサバくん:投資でも「頭の柔らかさ」が大事なんだね。
私:そう。柔らかい頭が、柔軟な判断を生むんだ。
KPIと「頭の柔らかさ」
ここでちょっと用語の説明をしましょう。ビジネスの世界ではよく「KPI」という言葉が出てきます。Key Performance Indicatorの略で、「重要なチェックポイント」といった意味です。
でも投資家にとって、本当に大事なKPIは「頭の柔らかさ」だと私は思います。
・異なる意見を聞いて、すぐ怒らずに考えられるか
・逆の立場から見た理由を一度は想像できるか
・自分の仮説をときどき見直せるか
これを意識できているかどうかが、投資家としての実力につながります。数字の成果(利回りや勝率)は結果にすぎず、その前に「柔らか頭」があるかどうか。これを日々のKPIにしてみるといいのです。
「柔らか頭」は鍛えられる
ベルギー・ヘント大学の研究によれば、思考の柔軟性は自然には育たないそうです。筋肉と同じで、鍛えなければ衰える。
だから意識的に「頭を柔らかくする練習」をしなければなりません。
例えば、投資ならこんな方法が考えられます。
- 逆の意見を読む:株価が上がると思ったら、「下がる理由」も探す。
- 仮説を見直す:月に1回は自分の投資シナリオを点検する。
- 異なる投資家の声を聞く:自分とタイプが違う投資家をフォローする。
これを繰り返せば、頭の柔らかさは維持できます。
マネサバくん:なんだか投資の筋トレみたいだね。
私:その通り!柔らかい頭は「投資の筋肉」なんだ。
日本社会と私たちへの教訓
日本でもSNSの分断は進んでいます。「円は必ず暴落する」「日本株は絶対ダメだ」など、極端な意見に振り回されてしまう人は少なくありません。
でも本当に強い投資家は、逆の意見を冷静に取り込める人です。耳の痛い話を避けず、自分の頭で考える習慣を持つ。それが「柔らか頭」の力です。
まとめ:投資家の最強資産は「柔らか頭」
投資家にとって、本当のKPI=チェックすべき指標は「頭が柔らかいかどうか」です。
・異論を聞いてすぐ怒らない
・逆の立場を想像できる
・仮説を点検し続けられる
これを日常に組み込めば、脳は固まらず、投資の判断もぶれにくくなります。
最終的なリターンは市場次第。でも「頭の柔らかさ」を失わなければ、長期的に見て必ず強い投資家になれるはずです。
マネサバくん:じゃあ、投資の一番の資産はお金じゃなくて「柔らかい頭」ってことだね。
私:その通り。資産は増えたり減ったりするけど、柔らかい頭があれば何度でも立ち上がれるんだよ。
【出典】
[タイトル]:【寄稿】人間の脳を文字通り害する検閲
[URL]:https://jp.wsj.com/articles/censorship-hurts-our-brainsliterally-88315333?mod=hp_opin_pos_1
[媒体名]:ウオールストリートジャーナル
[掲載日]:2025年9月19日