
投資入門:ニューモント株分析で学ぶ投資の基本
ファンダメンタルズ投資の実際
金鉱株ニューモントを調べてみた
今回は、前回ピックアップしたアメリカの金鉱株の中から、世界最大級の金採掘会社「ニューモント」を取り上げます。金鉱株は「金価格の動き」と密接に連動するため、株式投資の中でもちょっとクセのある分野です。でも、ここから投資の基本を学べる要素がたくさんあります。
まずは外国株の情報源として、SBI証券の外国株財務データを参照しました。ニューモントは2022年、2023年と連続で赤字を計上。とくに2023年はオーストラリアの大手金鉱会社「ニュークレスト」を買収した影響で大幅な赤字になっています。
マネサバくん:おじさん、金の会社って金価格が上がっても赤字になることがあるの?
私:そうなんだよ。鉱山会社って設備投資や買収、環境修復コストが大きいから、一時的に赤字になることは珍しくないんだ。
SECのデータを読み解く
ニューモントの詳細は、米国証券取引委員会(SEC)に提出された資料を確認する必要があります。
上のリンクでSECのページに行ったらトップページからSearchFilingに進みます。

赤丸の部分をクリックすると、以下の画面が表示されます。

このSearch Byのテキストボックスにnewmontと入力して、submitをクリック。

確かに、newmont Corpが検索結果に出ているので、それをクリックします。

上記の様なページが表示されました。
今回探している2023年の8-K(日本の証券報告書1年分)は2024/2/22に開示とSBI証券のページに出ていたので、すこしページをさかのぼって見ます。

何ページか遷移すると2024-02-22に開示されている8-Kのドキュメントを見つけました。
これをクリックします。

ようやく8-Kの本文にたどり着いた様です。
8-K文章を見てみる
実際に「8-K」という開示資料を見てみると、次のような内容がありました。
- 2023年にニュークレストを買収し、世界トップの金鉱企業に
- 株主へ14億ドルの配当を実施
- 金550万オンス、銅や銀を含む金換算89.1万オンスを生産
- フリーキャッシュフローは8,800万ドルとプラスを維持
- 一方で25億ドルの純損失を計上(減損損失や環境修復費が要因)
投資家として注目したいのは「営業キャッシュフローは黒字」である点。赤字決算の裏でも、事業そのものはキャッシュを生んでいます。
マネサバくん:赤字でもキャッシュが残ってれば大丈夫ってこと?
私:必ずしも安心じゃないけど、キャッシュが回っていれば事業継続の余力はある。逆にキャッシュが尽きるのが一番怖いんだ。
2024年の見通し
ニューモントは2024年の生産計画を発表しており、金の生産は690万オンス規模を見込んでいます。採掘コスト(CAS)は1,050ドル/オンス前後、総維持コスト(AISC)は1,400ドル程度を想定。これは金価格が2,000ドル前後で推移すれば、十分に利益が出る水準です。
また、買収によるシナジー効果で2025年末までに5億ドルのコスト削減を狙っているとのこと。鉱山開発は長期投資そのもので、数年先を見越した戦略が不可欠です。
マネサバくん:金価格が下がったらどうなるの?
私:その場合は採算ラインを下回るリスクがある。でも逆に言えば、金価格が上がればレバレッジが効いて利益が大きくなるんだよ。金鉱株の面白さはそこにある。
投資家目線での考え方
ニューモント株を投資教育の視点で整理すると、次のポイントが見えてきます。
- 資源株は景気や価格に左右されやすい
株価が「商品市況」に直結する。金価格が32%上昇すれば、売上は数十%伸びる可能性がある。 - 会計上の赤字とキャッシュの動きは分けて考える
損益計算書上の赤字が必ずしも倒産リスクを意味するわけではない。 - コスト構造を知ることが競争力分析になる
バフェットの言う「売上原価が低いかどうか」をチェックするのは投資の王道。
マネサバくん:つまり、決算の赤字を見ただけで「ダメだ」と思うのは早いってこと?
私:その通り!投資は数字を深掘りして、本質を見抜く力が大切なんだ。
金鉱株から学べる投資の教訓
金鉱株は、単純な「上がる・下がる」ではなく、資源価格・開発投資・環境コストなど多くの要因が絡みます。だからこそ、投資初心者にとっては「企業を多角的に分析する練習台」としても有効です。
ニューモントの例では、
- 買収の影響で一時的に赤字
- それでもキャッシュフローはプラス
- 将来の生産量拡大で成長余地あり
というストーリーが見えてきます。
まとめ
ニューモント株の分析を通して学べるのは、「表面的な数字だけで判断しない」こと。そして、投資対象を理解するためには、決算書や開示資料を地道に読み解く必要があるという点です。
20代・30代の投資初心者の方にとって、こうした企業分析は一見ハードルが高く見えるかもしれません。でも、小さな一歩を踏み出すことで、少しずつ投資の世界がクリアに見えてきます。
「ニューモント株分析」をきっかけに、あなたも自分なりの投資スタイルを考えてみてはいかがでしょうか。
この後も、7つに絞った金鉱株で、どの株を買うのかをファンダメンタルズ分析で考えて行きます。
お楽しみに。
※本記事は投資教育を目的とした内容であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。