マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年9月19日
マネサバくんガッツ

小学生の子を持つ親に伝えたい「教育」と「投資教育」の接点

本日は本の紹介から始めます。大前研一さんの著書『ゲームチェンジ』。
ぱっと見は経済書ですが、後半に出てくる教育に関する考察が非常に興味深く、特に「これからの時代に子どもへ何を学ばせるべきか」を考えるきっかけを与えてくれます。

単なる教育論にとどまらず、投資教育という観点からも応用できるヒントが詰まっているため、今回はこの本の紹介とあわせて「教育」と「投資」の共通点を掘り下げてみます。


世界の教育と日本の教育のギャップ

この本では、台湾・インド・イスラエルの教育制度が紹介されています。いずれも「一人で国を出て行っても稼げる力」を子供につけることを目的とし、親たちは必死に教育へ投資します。

対して日本はどうでしょうか。
教育は「学校まかせ」で、さらに学校は文科省の方針に縛られて自由度が低い。結果として、塾に通う子とそうでない子で差が広がり、家庭の教育格差がそのまま子どもの将来に直結してしまう構造になっています。


マネサバくん:おじさん、世界では「競争が当たり前」なんだね。でも日本は競争を避ける教育なんでしょ?
:そうだね。日本の小学校教育は「みんなで仲良く」が優先されるけど、世界の教育現場は凄まじい競争社会。そこで落ちこぼれると就職すら厳しいという現実があるんだよ。
マネサバくん:厳しいけど、それが世界標準なんだね…。


非認知能力と投資教育

近年注目される「非認知能力」。忍耐力や協調性、挑戦心などテストでは測れない力を伸ばそうとする取り組みが、塾や教育プログラムで増えています。

これは投資教育とも強く結びつきます。投資の世界では、知識以上に「感情のコントロール」や「失敗から学ぶ姿勢」が重要だからです。株価が下がった時にパニックにならず、長期目線を保つ力はまさに非認知能力の一種。

親が子どもに投資教育を施すとき、「お金の増やし方」よりも「お金との向き合い方」を教えることが本質的な教育になるのです。


教育費の現実と「親の投資」

日本は教育に対する国の支出がGDP比3.0%と低く、OECD平均4.3%を大きく下回っています。
それにもかかわらず、一人当たりの教育費は6〜15歳で10万5,502ドルと、OECD平均より高い。つまり不足分を親が自腹で補っているのです。

この状況で「子育て世代が子どもを持たなくなるのは当然」と感じる人も少なくないでしょう。教育は子どもの将来を決める最大の投資であるにもかかわらず、その負担が親だけに偏っている現状は、日本社会全体の課題と言えます。


マネサバくん:おじさん、教育って「親の投資」なんだね。でもリターンがすぐに出ないから大変そう…。
:そう、教育投資は「超長期投資」なんだ。子どもが大人になって社会で活躍するまで10年以上かかる。まさに複利効果と同じで、コツコツ積み重ねてようやく成果が見えるんだよ。
マネサバくん:投資と教育って、意外と似てるんだね!


日本で必要なのは「親の教育力」

残念ながら、日本では「教育も投資教育も、親が自ら教えるしかない」時代が続きそうです。学校が体系的に金融教育を行うにはまだ時間がかかりますし、国の支援も期待薄。

そのため親自身がまず投資や経済の基本を学び、それを子どもに伝えていく姿勢が欠かせません。投資の知識がなければ、子どもは「お金=ただ消費するもの」としか認識できず、社会に出てから大きなハンデを背負うことになります。


投資教育の実践アイデア

では、実際にどうやって投資教育を子どもに伝えればよいのでしょうか。ここでいくつかのヒントを挙げてみます。

  1. お小遣いを「予算」として管理させる
    欲しいものに全部使うのではなく、貯金や投資に回す割合を考える練習をさせる。
  2. 株式や投資信託を「仮想投資」で体験する
    実際に口座を作らなくても、銘柄を選んで成績を記録するだけで、子どもの関心は高まる。
  3. ニュースを一緒に読み解く
    「日経平均が上がった」「FRBが利下げした」といったニュースを、家庭内で話題にするだけで経済リテラシーは養われる。

こうした積み重ねが、将来「金融に強い世代」を育てることにつながります。


マネサバくん:でもおじさん、親が投資を知らないと子どもに教えられないよね?
:だからこそ、まずは親が一緒に学ぶことが大事なんだよ。「子どもに教えるために自分も学ぶ」って考え方をすれば、親子で成長できるんだ。
マネサバくん:親子で勉強する投資教育…なんかいいなぁ!


まとめ:教育も投資も「先手を打つ」

『ゲームチェンジ』が教えてくれるのは、世界はすでに教育と競争の新しいステージに入っているということです。
日本が変わるのを待つよりも、親が自ら教育に関わることが現実的な選択です。

そして投資教育も同じ。学校や国に任せきりではなく、親が主体的に学び、子どもに伝えていくことが必要です。
教育と投資の共通点は「早く始めるほど有利」だということ。複利も非認知能力も、時間を味方につけることが最強の武器になります。

子どもの教育を「消費」と考えるか、「投資」と考えるか。
その違いが将来の人生を大きく左右するのです。