
ロボアド投資で学ぶリスクと可能性
ロボアド市場の急拡大
ロイターの記事によると、いま世界の個人投資家の約1割がChatGPTを使って銘柄選びを行っているそうです。つまり、すでにロボアド(ロボアドバイザー)やAIツールを投資判断に組み込んでいる人が少なくないということです。
さらに驚くのは、市場規模の予測です。調査会社リサーチ・アンド・マーケッツによれば、2023年に約617億ドルだったロボアド市場は、2029年には4700億ドル超まで拡大するといいます。これは約6倍、まさに「爆発的な成長」です。
マネサバくん:えっ、おじさん!そんなに伸びるの?
私:そうなんだよ。資産運用を自動化したい人が増えているからね。人件費も抑えられるし、フィンテック企業や銀行にとっても魅力的な分野なんだ。
ChatGPT投資の現状と課題
記事では、元UBSのアナリストがChatGPTを使って自分のポートフォリオを組んでいる例も紹介されていました。高額なブルームバーグ端末を使わなくても、ChatGPTのようなツールで代替できる部分があるというのは興味深い話です。
しかし、同時に大きなリスクも指摘されています。たとえば:
- ペイウォール(有料記事)の奥にあるデータにはアクセスできない
- 数字や日付を誤認する可能性がある
- 過去のデータに依存しすぎて未来を単純に予測してしまう
OpenAI自身も「ChatGPTを金融アドバイスに頼るべきではない」と警告しています。つまり、万能ではなく、あくまで「補助ツール」としての位置づけが適切ということです。
マネサバくん:でも、もしChatGPTが選んだ株で利益が出たら、すごく楽じゃない?
私:確かに短期的にはそう見えるかもしれない。でも、市場が荒れたときに対応できるかどうかが本当の勝負なんだよ。そこは人間の知識や経験がまだ必要なんだ。
Finder調査にみる「AI銘柄選び」
興味深いのは、調査会社Finderが2023年にChatGPTに株を選ばせた実験です。ChatGPTが選んだ38銘柄(エヌビディアやアマゾン、P&G、ウォルマートなど)は、その後55%も値上がりしました。これはイギリスで人気の投資信託10本の平均上昇率を19ポイントも上回ったという結果でした。
つまり、適切に質問や条件を与えれば、AIはかなり優秀な成果を出す可能性があるわけです。ただし、これは「たまたま当たった」のか「本当に優れた分析だったのか」は、長期的に検証する必要があります。
ロボアドの魅力と限界
ロボアドは、従来の金融アドバイザーと違い、少額から自動で資産配分を最適化してくれるのが魅力です。投資初心者でも「プロっぽい運用」ができるのは確かにありがたいポイント。
ただし、問題は次の2つです。
- リスク許容度を自分で理解していないと危険
ロボアドはあくまでアルゴリズム。投資家の心理的耐性までは理解してくれません。 - 市場の反転に弱い
上昇相場ではうまく機能しても、急落時に適切な損失回避をしてくれる保証はありません。
記事でも指摘されていましたが、「人々がAI投資に慣れすぎると、危機や景気後退時に対応できなくなる」という懸念は的を射ています。
マネサバくん:ロボアドって、初心者の味方って思ってたけど、リスクもちゃんとあるんだね。
私:そうそう。知識がゼロのまま任せるのは逆に危ない。ロボアドはあくまで「補助輪」みたいなものだと考えたほうがいいね。
投資家としての視点
投資教育の観点から見ると、ロボアドやChatGPTの活用は「投資を学ぶきっかけ」としては非常に面白い存在です。自分が思いつかない銘柄をAIが提示してくれることで、新しい学びや分析の出発点になります。
一方で、依存しすぎるとリスクが増えるのも事実。特に20代・30代の投資初心者にとっては、ロボアドを使う前に「投資の基本原則」を理解しておくことが大切です。
たとえば:
- 株式と債券の違い
- 分散投資の効果
- リスクとリターンの関係
- 複利の力
こうした知識があって初めて、ロボアドの提案を正しく活かせます。
まとめ
ロボアド市場は急成長しており、今後ますます存在感を増していくでしょう。AIの力で投資のハードルが下がるのは喜ばしいことです。ただし、「AIが選んでくれるから安心」という姿勢は危険です。
最終的には、自分で判断できる力をつけることが投資家としての成長につながります。ロボアドはその補助輪であり、入口に過ぎません。
20代・30代の皆さんに伝えたいのは、ロボアドをきっかけにして「自分で考える投資家」になること。そうすれば、どんな相場環境でも対応できる強さを身につけられるはずです。
【出典】
・タイトル:焦点:チャットGPTに運用頼る投資家、加速する「ロボアド」市場 リスクに警戒も
・URL:https://jp.reuters.com/markets/japan/AMOPCWKETVNPLGT3EIJDP5XY7Q-2025-09-26/
・媒体名:ロイター
・掲載日:2025年9月26日