マネサバおじさん      

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マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年9月30日
マネサバくんガッツ

マイランFRB理事と利下げ論争から学ぶ投資の視点

マイランFRB理事の主張とは?

本日のブルームバーグの記事によると、2025年9月22日米連邦準備制度理事会(FRB)のマイラン理事が「大幅な利下げ」を求める講演を行いました。彼は、トランプ政権の通商・移民・税制政策などがインフレ抑制に寄与し、必要な金利水準を引き下げたと主張。つまり、「現在の政策金利は高すぎる」と訴えたのです。

その言葉どおり、FOMC(連邦公開市場委員会)では0.25ポイントの利下げが決定されたにもかかわらず、マイラン理事は「0.5ポイントの利下げが必要」と反対票を投じました。


マネサバくん:おじさん、FRBって普通はみんな足並みを揃えるんじゃないの?
:そう思うよね。でも実際は委員ごとに意見があって、時には対立することもあるんだ。今回のマイラン理事は特に「異端」として注目を浴びてる。


市場の反応は冷ややか

しかしウォール街のエコノミストたちの反応は冷淡でした。JPモルガンのチーフエコノミスト、フェローリ氏は「彼の主張は疑わしい部分も多く、説得力がほとんどない」とコメント。さらに、最新の経済指標はむしろ堅調さを示しており、即時の大幅利下げを裏付けるデータは見当たりません。

これらを踏まえると、「今すぐに0.5ポイントの利下げ」というマイラン理事の主張は根拠に乏しいと見られています。


歴史の教訓:バーンズ議長の失敗

今回の状況を見て思い出されるのが、1970年代のFRB議長アーサー・バーンズです。当時、ニクソン大統領の圧力に屈して利下げを続けた結果、米国はインフレを加速させ、「最悪のFRB議長」という不名誉な評価を受けました。

もしマイラン理事が政治的圧力に従う形で利下げを推し進めれば、同じように歴史に悪い意味で名を残す可能性があります。


マネサバくん:じゃあ、マイランさんってバーンズ議長と同じ道を歩んでるってこと?
:そこまでは言い切れないけど、リスクはあるね。中央銀行は「独立性」が命だから、政治に引っ張られると市場の信頼を失うんだよ。


投資家が注目すべきポイント

投資家として、このニュースから読み取るべき点は何でしょうか。

  1. 金利政策は株価や為替に直結する
     利下げは短期的には株式市場にプラス要因。ただし、インフレ懸念が高まれば長期的に不安定要素になる。
  2. FRB内の意見の分裂は市場に不安を与える
     足並みが揃わない場合、市場は「FRBの方向性が不透明」と判断し、ボラティリティが高まる。
  3. 政治と中央銀行の関係性
     歴史的に、政治圧力で金融政策を誤った例は多い。投資家はそのリスクを織り込む必要がある。

JPモルガンの冷静さに学ぶ

記事の中で印象的だったのは、JPモルガンの対応です。「説得力がない」ときっぱり述べ、顧客の信頼を守る姿勢を示しました。投資の世界では、場当たり的な発言や感情的な判断は信用を失う元。これは個人投資家にとっても同じです。


マネサバくん:市場が冷静に反応してるのはちょっと安心だね。
:そうだね。どんなに権威のある人でも、根拠の薄い意見に振り回されない姿勢は投資家として大事だよ。


来年6月、パウエル議長の任期終了へ

もう一つ忘れてはいけないのは、来年6月にパウエル議長の任期が終わることです。次の議長が誰になるかによって、FRBの方針は大きく変わる可能性があります。

もし新議長が「政治に従いやすい人物」であれば、市場は再びインフレ懸念に揺さぶられるでしょう。逆に「独立性を重視する人物」であれば、FRBへの信頼は続きます。


投資教育としてのまとめ

今回の「マイランFRB理事の利下げ主張」から学べることは多いです。

金利の動向は株式、為替、債券、そして金価格にまで影響を及ぼす「経済の心臓部」。だからこそ、ニュースを鵜呑みにするのではなく、背景にあるデータや歴史を踏まえて冷静に考えることが投資家には求められます。


まとめ

マイランFRB理事の主張は、現状の経済データやインフレ状況を考えると市場から支持を得られませんでした。むしろ、FRB内で「異端」とされ、1970年代のバーンズ議長の失敗を思い出させる状況になっています。

投資家としては、この出来事を「中央銀行の独立性がどれだけ重要か」を再確認する材料にすべきです。そして、短期的なニュースに振り回されず、自分なりの判断軸を持つことが資産を守る最大の武器になります。


【出典】

・タイトル:マイランFRB理事の利下げ主張に市場は冷ややか-不完全で説得力欠く
・URL:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-29/T3D44DGP9VCW00
・媒体名:ブルームバーグ
・掲載日:2025年9月30日