ホンダの挑戦は未来につながるのか?自動運転と半導体で見える不安と希望
ホンダが進める自動運転車向けのSoC(システム・オン・チップ)開発。その中心にあるのが、「TOPS/W」——つまり電力あたりの計算効率という、今後のEVと自動運転車に欠かせない指標です。
この記事を読んでまず思ったのは、「技術的な挑戦は確かに面白い。でも、果たしてホンダは本当にこの先の競争を勝ち抜けるのか?」という素朴な疑問でした。
最近のホンダには、日産との合併交渉の話題など、少し足並みが乱れている印象もあります。かつてレースの世界で2輪も4輪も世界のトップを取っていたあのホンダが、今は他社の背中を追っている——そんな印象が拭えません。
“TOPS”ではなく“TOPS/W”にこだわる理由とは?
ホンダが目指すのは、電力1ワットで20兆回の演算処理ができるSoC。電力効率重視のアプローチは、確かにこれからのEV時代において重要な視点です。
ただ、すでに米国ではクアルコムやNVIDIAといったIT系大手が、自動車業界に半導体を供給し、しかも実績も積み上げている状態。こうした企業との競争に、今から独自設計で挑むのはかなりのリスクも伴います。
ホンダはルネサスと手を組むことで最適設計を狙っているようですが、「なぜ今になって?」という疑問は残ります。正直、少し動きが遅かったのではないかと思わざるを得ません。
ホンダらしさはどこに?“アシモOS”にかける独自色
もう一つの注目点が、「アシモOS」というホンダ独自の車載OSです。ヒト型ロボット「アシモ」の名を冠したこのOSは、いかにもホンダらしい発想。ただ、車載OSの世界では、すでに標準化とオープンプラットフォームの波が広がっており、そこに独自路線を貫くことが良い方向に働くかは微妙です。
さらに気になるのは、「ロボットとの連携」や「地球環境への配慮」といった、やや抽象的なビジョンに話が飛躍している点。確かに未来志向ではあるのですが、具体的な“今”の強さを見せてくれないと、投資家としては不安になります。
世界の競争相手はすでに前を走っている
記事の終盤では、中国最大手のBYDが20万円台の車種にも自動運転を導入しているという衝撃的な事実が紹介されています。開発スピードや実装能力でいえば、もはや日本メーカーは明らかに後塵を拝しているのが現実です。
さらに、テスラはカメラだけで自動運転を実現するという野心的なアプローチを取っています。それに対してホンダは「センサー併用」路線を貫いており、どちらが正解かはまだ見えませんが、スピードとコストの観点ではすでに差がついている気がします。
投資家の視点から見える「もどかしさ」
投資家としてホンダに期待するのは、かつてのような明快な技術力と、圧倒的な競争力です。しかし今回の記事では、どこか「理想はあるけれど、現実が追いついていない」印象を持ちました。
SoC開発やOS設計といったテーマは、確かに将来性があります。ただ、それを裏付ける市場での存在感や販売実績、リーダーシップが今は見えてきません。
「時間はかかるけれど、やるべきことはやっている」という評価もできますが、すでに世界は待ってはくれないフェーズに入っています。
ホンダの反転攻勢はあるのか?
未来に向けた方向性は間違っていないかもしれません。けれど、今の自動車業界は、半導体からソフトウェア、AI、そしてロボット技術まで一気通貫でつながっている複雑な戦場です。
ホンダがこの先、再び“世界のホンダ”として輝きを取り戻すには、ビジョンだけでなく、具体的な実行力と結果が求められます。
かつてのホンダを知る世代からすれば、今は我慢の時かもしれません。でも投資家としては、次の一手に対してシビアに見極めていく必要がありそうです。
ホンダの挑戦は未来につながるのか?自動運転と半導体で見える不安と希望
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC233UI0T20C25A4000000/
日経新聞 2025/5/5
