マネサバおじさん      

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マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年5月25日

プラザ合意から40年、「基軸通貨」の未来を考えるとき


1985年に締結されたプラザ合意から、今年でちょうど40年。日米欧の財務トップがドル高を是正しようと協調したこの歴史的合意は、日本経済にも大きな影響を与えました。そして2025年の今、あの時とよく似た空気が世界に漂っています。

アメリカが不満を募らせ、同盟国にも通貨や貿易の見直しを迫る。そんな“プラザ合意2.0”とも言える動きが、再び台頭しつつあるのです。


ドルという「信頼」に支えられた通貨

1971年のニクソン・ショック以降、ドルは金と交換されない「不換紙幣」となりました。それでもドルが世界の基軸通貨として機能し続けてきたのは、単にアメリカが強いからではなく、「ドルを信じる」という世界の共通認識があったからです。

けれど、関税や制裁、SNSでの突発的な政策発表といった最近のアメリカの動きは、そんな信頼を少しずつ揺るがせているのも事実です。


では、次の基軸通貨はどこから?

今回の記事では、いくつかの可能性が語られていました。たとえば、中国人民元。実際、中国はASEAN諸国やアフリカに向けて、デジタル人民元や自国の決済システム(CIPS)の普及を進めています。

ただし、通貨にとって一番大切なのは「使いやすさ」や「広がり」だけではありません。「安心して持ち続けられるか」という信頼が基盤になります。かつての中国では、政治判断ひとつで外国企業の資産が押収された過去もあり、「長く持ち続ける」という意味では、信頼性にやや不安が残るのが現状です。


「円」はなぜ世界通貨になれなかったのか?

記事では、「円の失敗から学ぶ人民元」というテーマもありました。確かに1980年代後半、日本は世界2位の経済大国として、基軸通貨化の期待もありました。けれど実際には、バブル崩壊や内需重視への転換、そして何より政治的な柔軟性の不足が影を落としました。

この“円の教訓”を生かそうとしているのが今の中国とも言えますが、政治体制や外交の透明性といった部分で、まだ課題は多そうです。


デジタル通貨の挑戦、欧州と新興国の動き

一方、欧州は「デジタルユーロ」によって主導権を狙っています。ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁は、「今こそ通貨防衛に集中する」と明言。ブロック経済的な方向性が見え隠れしますが、ここには技術力と政治的統一の難しさが共存しています。

また新興国も、自国通貨の影響力を広げようとしていますが、実体経済や信用度での課題がまだ多く、基軸通貨としての成熟には時間がかかりそうです。


「基軸なき時代」に、私たちができること

ここまで読んで、「じゃあ結局どこも決め手に欠けるじゃないか」と思う方も多いかもしれません。でも、それこそが今の世界を象徴しています。

アメリカ、欧州、中国、どの通貨も一長一短。だからこそ、今後の通貨システムは「一強」から「多極分散」へとシフトしていく可能性があります。複数の通貨が共存しながら、相互に信頼関係を築く。そんな時代に、私たち投資家ができるのは、特定の通貨や国だけに依存しない、柔軟な分散投資の視点を持つことかもしれません。


歴史を知ることが、未来をつくるヒントに

プラザ合意とは何だったのか。なぜ円は基軸通貨になれなかったのか。そして、アメリカが貿易赤字に過敏に反応する背景には何があるのか。今、40年の節目にあらためて歴史をひも解くことは、これからの経済や投資の選択において、大きなヒントになります。

時代は変わっても、信頼を築くのに近道はありません。だからこそ、私たちも焦らず、じっくりと「価値のあるもの」を見極めていきたいですね。


40年経ってよみがえる「プラザ合意」の世界 新たな通貨の物語
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB23AJM0T20C25A5000000/
日経新聞 2025/5/25


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齋藤 ジン