バフェット後のバークシャー、試される“神話の継承力”
投資の神様、ウォーレン・バフェット氏のCEO引退が発表される前日、日経新聞に掲載されたこの記事。タイミングの妙もあって、より一層印象的でした。
なぜなら――
そこには、彼の後継者であるグレッグ・アベル氏の名前が一切登場しないからです。
「いや、ちょっと待って。翌日にはその人がバークシャーを率いることが発表されるんだけど…?」と、つい読みながらツッコミたくなりました。
バークシャーの“最強伝説”に陰り?
バークシャー・ハサウェイといえば、1965年にバフェット氏が経営権を取得して以来、S&P500を60年間上回り続けてきた伝説的な企業です。その記録は、投資界ではまさに神話。
しかし今回の記事によると、その超過リターンはここ10年でじわじわと縮小。ついにはインデックス運用(S&P500+配当)にパフォーマンスで劣る可能性があるという試算も登場しました。
あれほどの実績を持つバークシャーでさえ、運用規模の巨大化と市場構造の変化には逆らえないという現実。まるで、「巨人はゆっくりと動きにくくなっている」と言われているかのようです。
名もなき後継者たち?市場との距離感が露呈
この報道で最も気になったのは、実務面を担う後継者として紹介されていたのが、トッド・コームズ氏とテッド・ウェシュラー氏だった点です。
確かに、2人はヘッジファンド出身で、バークシャーに入ってからはアップルやスノーフレーク、アクティビジョン・ブリザードといったテック企業への投資を進めてきました。
とはいえ、「グレッグ・アベル」の名は最後まで出てこず。つまり、少なくとも日本の主要経済メディアでも、投資家としての認知度はほぼゼロに近かったということです。
投資家たちは“数字”だけでなく、“人”にも投資するもの。この視点から見ると、バークシャーが「誰が率いるか」について、まだ投資家との信頼関係を築ききれていないとも感じられました。
“マグニフィセント7”に追いつけず?
ここ数年のS&P500の好調さは、GAFAMを含む「マグニフィセント7」と呼ばれる超大型テック企業の成長によるものです。バークシャーもアップル株でこの流れに乗ってはいるものの、全体のリターンとしてはそれに及ばなかった可能性があるという試算は、少し衝撃的です。
個別株でどれだけ当てても、全体の運用額が大きすぎると「針の穴に糸を通すような投資」ではリターンを動かせない。これは規模の大きいファンド特有のジレンマでもあります。
投資家は“次のバークシャー”に何を求めるのか?
結局のところ、多くの株主がバークシャー株を持つ最大の理由は「バフェットの目」だった、という事実がこの記事では改めて強調されています。
チャートを超えた「洞察」や、数字には表れない「安心感」。これらがあったからこそ、バークシャー株は時にインデックスを超える魅力を放っていたのです。
その意味で、新たな体制において「誰がどう考え、何を大切にするのか」を明示していくことが、今後の信頼回復に欠かせないポイントになるでしょう。
まとめ:神話の終わりではなく、“続編”の始まりへ
長年にわたって最強の実績を誇ってきたバークシャー・ハサウェイ。
確かに、その伝説に少し陰りが見えてきたのは事実かもしれません。
でも、バフェット氏が作り上げたのは「会社」ではなく、「思想」だったとも言えます。
それをどう継承し、どう変化させるか――。新体制には、まだ語られていない“続編”の可能性が残されています。
私たち投資家にできるのは、その変化の兆しを見逃さず、自分自身の視点で評価し続けること。
「誰がやってるか分からないから、もう見限る」ではなく、「だからこそ注目して見ていく」。そんなスタンスで臨むのが、成熟した投資行動なのかもしれません。
バフェット氏積み上げた39兆円 高リターン持続に重圧
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1102I0R10C25A5000000/
データ元:日経新聞 2025/5/14
