マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年10月1日
マネサバくん勉強

投資入門:金鉱株の購入決定

証券会社の財務データとSECのデータとを掛け合わせて見る

私:前回までニューモント株を例にSECからのデータを取得して、一覧にして見ました。

ただ、7.IAMGOLD(IAG)に関してはSECのデータで10-Kのファイルが見つからず、今回の投資対象からは外しました。
単位は全て100万ドルです。

Newmont(NEM) 2022 2023 2024
売上11,91511,81218,682
前年比-0.864%58.161%
営業利益203-1,6634,571
営業利益率1.704%-14.079%24.467%
経常利益-51-2,0314,577
経常利益率-0.428%-17.194%24.500%
当期純利益-429-2,4943,348
当期純利益率-3.601%-21.114%17.921%
売上原価6,6996,4688,963
原価率56.223%54.758%47.977%
減価償却費および償却費2,1852,1082,576
減価償却費率18.338%17.846%13.789%
営業経費000
営業経費率0.000%0.000%0.000%
研究開発費442299276
研究開発費率3.710%2.531%1.477%
支払利息227243375
支払利息率1.905%2.057%2.007%
資産売却-11,114
資産売却比率0.000%0.000%-59.490%
復元および環境修復費9211,533328
復元・環境修復費率7.730%12.978%1.756%
法人税4555261,397
法人税率3.819%4.453%7.478%

 

Barrick Gold (B) 2022 2023 2024
売上 11,013 11,397 12,922
前年比 3.487% 13.381%
営業利益 1,996 2,984 4,840
営業利益率 18.124% 26.182% 37.456%
経常利益 1,681 2,814 4,608
経常利益率 15.264% 24.691% 35.660%
当期純利益 432 1,272 2,144
純利益率 3.923% 11.161% 16.592%
売上原価 7,497 7,932 7,961
原価率 68.074% 69.597% 61.608%
減価償却費および償却費 1,997 2,043 1,915
比率 18.133% 17.926% 14.820%
営業経費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
研究開発費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
支払利息 301 170 232
比率 2.733% 1.492% 1.795%
資産売却 -405 -364 -24
比率 -3.677% -3.194% -0.186%
復元および環境修復費 48 61 66
比率 0.436% 0.535% 0.511%
法人税 664 861 1,520
比率 6.029% 7.555% 11.763%

 

Agnico Eagle Mines (AEM) 2022 2023 2024
売上 5,741 6,626 8,285
前年比 15.415% 25.038%
営業利益 1,281 886 3,149
営業利益率 22.313% 13.372% 38.008%
経常利益 1,115 2,359 2,821
経常利益率 19.422% 35.602% 34.049%
当期純利益 670 1,941 1,895
純利益率 11.670% 29.294% 22.873%
売上原価 2,643 2,933 3,086
原価率 46.037% 44.265% 37.248%
減価償却費および償却費 1,094 1,491 1,514
比率 19.056% 22.502% 18.274%
営業経費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
研究開発費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
支払利息 82 130 126
比率 1.428% 1.962% 1.521%
資産売却 8 26 37
比率 0.139% 0.392% 0.447%
復元および環境修復費 15 32 33
比率 0.261% 0.483% 0.398%
法人税 445 417 925
比率 7.751% 6.293% 11.165%

 

Kinross Gold (KGC) 2022 2023 2024
売上 3,455 4,239 5,148
前年比 22.692% 21.444%
営業利益 194 801 1,540
営業利益率 5.615% 18.896% 29.915%
経常利益 106 708 1,481
経常利益率 3.068% 16.702% 28.768%
当期純利益 -605 416 948
純利益率 -17.511% 9.814% 18.415%
売上原価 2,939 3,080 3,270
原価率 85.065% 72.659% 63.520%
減価償却費および償却費 1,997 2,043 1,915
比率 57.800% 48.195% 37.199%
営業経費 117 129 108
比率 3.386% 3.043% 2.098%
研究開発費 154 154 185
比率 4.457% 3.633% 3.594%
支払利息 93 106 91
比率 2.692% 2.501% 1.768%
資産売却
比率 0.000% 0.000% 0.000%
復元および環境修復費 25 37 40
比率 0.724% 0.873% 0.777%
法人税 76 293 487
比率 2.200% 6.912% 9.460%

 

B2Gold (BTG) 2022 2023 2024
売上 1,732 1,934 1,902
前年比 11.663% -1.655%
営業利益 502 327 -257
営業利益率 28.984% 16.908% -13.512%
経常利益 530 320 -309
経常利益率 30.600% 16.546% -16.246%
当期純利益 252 10 -629
純利益率 14.550% 0.517% -33.070%
売上原価 1,128 1,154 1,195
原価率 65.127% 59.669% 62.829%
減価償却費および償却費 383 402 367
比率 22.113% 20.786% 19.295%
営業経費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
研究開発費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
支払利息 10 13 34
比率 0.577% 0.672% 1.788%
資産売却 -2 0 72
比率 -0.115% 0.000% 3.785%
復元および環境修復費 0 3 4
比率 0.000% 0.155% 0.210%
法人税 243 278 317
比率 14.030% 14.374% 16.667%

 

Eldorado Gold (EGO) 2022 2023 2024
売上 871 1,008 1,322
前年比 15.729% 31.151%
営業利益 41 182 479
営業利益率 4.707% 18.056% 36.233%
経常利益 11 163 435
経常利益率 1.263% 16.171% 32.905%
当期純利益 -353 104 289
純利益率 -40.528% 10.317% 21.861%
売上原価 459 478 564
原価率 52.698% 47.421% 42.663%
減価償却費および償却費 240 261 251
比率 27.555% 25.893% 18.986%
営業経費 19 22 23
比率 2.181% 2.183% 1.740%
研究開発費 0 0 0
比率 0.000% 0.000% 0.000%
支払利息 41 32 23
比率 4.707% 3.175% 1.740%
資産売却 3 -1 2
比率 0.333% -0.099% 0.121%
復元および環境修復費 2 4 4.8
比率 0.218% 0.417% 0.363%
法人税 61 57 134
比率 7.003% 5.655% 10.136%

まず売上を見ると、ニューモント(NEM)とバリック・ゴールド(B)の2社が飛び抜けて大きく、次いでアグニコ・イーグル・マインズ(AEM)が続きます。規模の大きさは安定感につながりますが、投資判断ではそれだけでは不十分です。


マネサバくん:おじさん、売上が大きければ投資しても安心ってこと?
:必ずしもそうじゃないんだ。大きな会社でもコストが高ければ利益が出ないし、小さな会社でも効率的に採掘していれば強い投資対象になるんだよ。


売上高原価率に注目

金鉱株で特に重要なのは「売上高原価率(売上原価/売上)」です。なぜなら、金鉱山の質や採掘コストの優劣がここに表れるからです。

データを見ると、2024年の原価率はどの会社も金価格の上昇に助けられて下がっています。ただしBTGだけは逆に上昇しており、これは新規鉱山の取得や企業買収の影響と考えられます。

平均すると、AEMの原価率は42.5%とダントツに低く、良質な鉱山を持っていることがわかります。


環境修復費と法人税

金鉱株の独特なコスト項目として「復元および環境修復費」があります。鉱山を閉鎖した後、環境を元に戻すための費用です。これが巨額になると一気に赤字転落することもあります。

例えば、NEMは2023年の大赤字の要因がまさにこの費用でした。一方でAEMは毎年売上の1%以下に収まり、安定しています。

また、法人税の水準も企業の稼ぐ力を映す指標です。Bが最も多く納税しており、次いでAEMが続きます。納税額は利益が安定的に生み出されている証拠でもあります。


マネサバくん:税金まで見て判断するんだね。利益だけじゃダメなの?
:そう、純利益は一時的な要因で動くことがあるけど、税金はごまかせない。だから長期的に稼ぐ力を見抜くには重要なんだよ。


支払利息と財務の健全性

負債の利息支払いは財務健全性を示すポイントです。データによると、割合ベースで最も少ないのはBTG、次いでAEM。借金が少ない企業ほど金価格の変動に耐える力があると考えられます。

ファンダメンタルズから見ると、AEMとBTGが候補に浮上します。ただしBTGは営業利益率の上下が大きく安定感に欠けます。一方、AEMは低い原価率に支えられ、営業利益率も高めです。


PERで市場の評価を知る

投資判断でよく使われるのがPER(株価収益率)です。これは株価を1株当たり利益で割ったもので、低いほど割安とされます。

ここで注目すべきは、AEMのPERが最も高いこと。つまり市場は「AEMの成長力や安定性に高い評価を与えている」ということです。投資家にとって安心感のある銘柄と言えるでしょう。


マネサバくん:PERが高いってことは割高なんじゃないの?
:短期的にはそうも見えるね。でも、将来の利益成長を織り込んでいる可能性がある。だから「なぜ高いのか」を分析することが大事なんだ。


長期投資の候補はAEM?

今回の分析をまとめると、AEMは

今回の投資先としてはAEMで決定します。

Agnico Eagle Mines Limited – Investor Relations

株価は半年で50%以上上昇していますが、それでも長期投資先としての魅力は健在。私は今夜(2025/10/1)のNYで169ドルで指値注文を出してみることにしました。


投資教育としての学び

金鉱株の分析から得られる投資教育のポイントは次の通りです。

  1. 売上高原価率で企業の強さを見抜く
  2. 環境修復費など特有のコストを理解する
  3. 法人税や利息で稼ぐ力と財務健全性を確認する
  4. PERで市場の評価を参考にする

これらを総合的に判断することで、数字に裏付けられた投資判断が可能になります。


まとめ

「金鉱株の分析」を通じて学んだのは、投資判断において1つの指標だけを見るのでは不十分だということです。売上や利益だけでなく、原価率、環境修復費、法人税、PERなど多角的にチェックすることが重要です。

金鉱株は金価格の影響を強く受けますが、同じ金を掘っている企業でも効率性や財務状況で大きな差が出ます。今回のケースではAEMが最も安定的な長期投資候補と考えられます。

投資教育の観点からも、「数字を深掘りする力」が未来の投資家に必要なスキルであることを改めて確認できました。


※本記事は投資教育を目的とした内容であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。