マネサバおじさん      

マネサバおじさん

マネー・サバイバル

—知識を武器に、未来を変える—

2025年10月8日
マネサバくん笑い

原子力の星BWXTを読む

原子力ブームの裏で光るBWXT

前回原子力銘柄を探しているの中で、BWXT(BWXテクノロジー)という会社に注目しました。

他にもSMR(NuScale)やOKLOなど注目銘柄はありますが、どちらもまだ赤字。
特にOKLOはフォーブスにも取り上げられ、売上ゼロのまま株価が急騰。
この盛り上がり方、どこかで見たことがありませんか?

そう、2000年代初頭のITバブルを思い出します。


マネサバくん:おじさん、BWXTって名前、ちょっと難しそうだね。何をしてる会社なの?

:簡単に言えば「原子炉の心臓部を作る会社」だよ。主にアメリカ海軍の原子力潜水艦や空母に使われる原子炉を供給してる。軍事用の原子力技術をベースにしてるんだ。

マネサバくん:へぇ~、軍事用ってことは、普通の発電所とは違うの?

:そう。発電というよりは、安全性と信頼性が最優先。だから黒字を維持できる。国家プロジェクトに近い会社なんだ。


黒字企業BWXTの実力

BWXTは長年、安定した業績を維持しています。
2024年の売上は約27億ドル、純利益率も10%を超える優良企業。
原子力関連の中では、まれに見る「実績ある企業」と言えます。

しかし、株価を見ると191.39ドル(2025年10月7日時点)
そして注目すべきはPER(株価収益率)=54倍という数字。


PERとは?高PER企業の見方

PERは「株価 ÷ 一株当たり利益(EPS)」で求められます。
つまり、今の株価を利益で回収するまでに何年かかるかを示す指標です。

PER54倍ということは、利益が今のまま続けば54年後に投資が回収できる計算。
直感的に「ちょっと高いな」と感じますよね。

ただし、成長率が高い企業の場合は話が違います。
たとえば利益が年20%ずつ増えるなら、PER20倍でも妥当。
成長とバリュエーションのバランスを見ることが大切です。


マネサバくん:PERが高いってことは、人気があるってこと?

:そう。将来の成長をみんなが期待してるんだ。けど、期待が大きすぎるとリスクも増える。

マネサバくん:なるほど~。じゃあPERが低いほうがいいってこと?

:一概には言えないけど、「利益の伸び」と「株価の高さ」のバランスが大事。BWXTは利益が10%ちょっとの増益予想だから、PER54倍はちょっと高すぎるかな。
BWXTが上場しているNY証券取引所の平均PERが23倍位といわれています。それと比較してもちょっと高すぎるね。


割高感の裏にある“期待”

BWXTはアメリカ政府と長期契約を結んでおり、安定した収益を上げています。
また、民間用の小型原子炉(SMR)開発にも関与しており、将来的にはAIデータセンターや月面基地向けの電力供給にも期待が高まっています。

つまり、市場は**「未来の原子力」への期待を先取りしている**のです。

しかし、投資家として気をつけたいのは、この“期待”の先走り。
現在の利益成長率が10~15%程度なのに、PERが50倍を超えているのはやはり高い。


マネサバくん:じゃあ、おじさんは今は買わないの?

:うん。今はちょっと“待ち”だね。もしPER15倍くらいまで下がれば、株価にして53ドル前後。そのあたりなら投資妙味がある。

マネサバくん:今の191ドルから53ドル!? ずいぶん安くならないと…!

:そう。でも投資は“焦らない”ことが大事。チャンスは、いつかまた来る。高値づかみをしないこと、それが長期投資家の鉄則なんだ。金鉱株では高値づかみをしているけど・・・


原子力銘柄のこれから

原子力関連銘柄は、短期的なニュースで大きく動きやすいセクターです。
「政府支援」「新型炉承認」「AI電力需要」など、話題になるたびに株価が跳ねます。

でも、それに飛びつくと痛い目を見ることも多い。
本当に注目すべきは、技術力・財務体質・契約の安定性の3つ。

その点、BWXTは「実績」「黒字」「政府契約」という三拍子がそろった珍しい存在です。
短期的には割高でも、長期的には十分に注目に値します。


投資家が学ぶべきポイント

今回のBWXT分析から学べるのは、
「人気」と「価値」を区別する力です。

これらは、投資家としての判断力を磨くうえで欠かせない視点です。


まとめ:焦らず、数字を読む投資を

BWXTは原子力分野の中で光る存在ですが、今の株価は明らかに高値圏だと私は考えています。
もし今後、世界的に金利が下がり、エネルギー転換が本格化すれば再びチャンスが巡ってくるかもしれません。

マネサバくん:おじさん、次のチャンスまで何を見てればいい?

:いい質問だね。BWXTの四半期決算の“営業利益率”と“受注残高”をチェックしておくといい。ここが伸びていれば、本物の成長だから。

マネサバくん:なるほど! それまでは慌てずに待つってことだね。

:そう。投資の世界で一番大事なのは“待つ勇気”だよ。


BWXTは、今すぐ買う株ではないかもしれません。
しかし、将来の原子力時代を支える柱の一つであることは間違いありません。

数字を読み、焦らず、待てる投資家。
その姿勢こそが、どんな相場でも生き残る最大の武器になるのです。